ウオッチドッグ編集部は、高知県香美市にある物部川漁協の松浦秀俊組合長とNews Kochiの依光隆明記者と一緒に、7月3日から5日まで物部川(ものべがわ)流域を取材した。物部川の現状を組合長の案内で見て回った。
上流まで向かう途中で、取材ポイントの場所にその都度止まり、松浦組合長の説明を聞いた。

「動的平衡」が保たれた川とは?

組合長「ダムによって上流からの砂礫(砂と小石)の供給が途絶えて、動的平衡が保てず、削られる一方となり、河床が低下することが問題です」

ウオッチドッグ記者

松浦組合長が言う「動的平衡」が保った川と河床低下を図解にするとこんなイメージですね。

「理想的な川」と「問題の川」(イラスト制作:生成Al)

川は、上流から流れてくる砂と、下流へ流れていく砂の『引き算と足し算』でバランスを保っていますが、ダムができたせいで、上流から砂や小石が流れてこなくなりました。その結果、川のバランスが崩れて、川底が削られ、どんどん低くなっているのが大問題なんですね。

「生息場所の多様性」とは?

組合長「砂礫の供給が途絶えると、川の構成要素である瀬、淵、とろ場といった川の生きものたちの生息場所の多様性(川のアクセント)が失われます」

砂鉄供給がある川と途絶えた川(イラスト制作:生成Al)

上流から新しい砂や小石が流れてこないと、川底がコンクリートのように固まったり、ただの平らな溝になります。そして「瀬」や「淵」といった川のいろいろな凸凹(アクセント)が消えてしまう。生きものによって「浅い場所が好き」「深い場所で休みたい」という好みが違うため、住む場所のバリエーション(多様性)がなくなると、魚や川の虫たちは全滅のピンチを迎えてしまいます。

「瀬・淵・とろ場(せ・ふち・とろば)」ってなに?

川には、もともといろいろな「表情(アクセント)」があります。

瀬(せ): 水が浅くて、流れが速く、パチャパチャしている場所。

淵(ふち): 水が深くて、流れがゆるやかな場所。魚がじっと休むのに最適。

とろ場: 流れがほとんどなくて、トロッとしている場所。

物部川本流を見て周ったが、子どもが利用するアユ釣りのスポットがあるということで、支流の河川も案内してもらった。本流の濁流よりずっと綺麗だったが、松浦組合長によるとこれでも少し淀んでいるという。上から見ると透明に見えるが潜るとまた違う。透明な川であれば潜っても5メートル先の魚が見えるらしい。約60年間、地元の川を見続けてきた漁協組合長は、ひと目で淀み具合がわかるようだ。

後日、小石や砂利がある透き通った川で泳ぐアユの写真を組合長から提供してもらった。無色透明な川とはこういう川をいうのだろう。(次号につづく)

小石や砂利がある河川で泳ぐアユ(松浦組合長提供の写真)