大津市の「新型コロナウイルス感染症危機対策本部会議」が、1月31日に発足して以降、3月5日の1度しか開催されていないことが取材でわかった。3月2日時点で18万枚あったというマスクの備蓄や配布状況を網羅したデータが、庁内で共有されず、対策本部・事務局の危機・防災対策課は、把握していない。

対策本部の本部長は佐藤市長だが、3月5日の対策会議後も記者会見を開いておらず、ホームページ上でも全く説明していない。その後も、市内で感染者が次々と見つかっているが、発表は滋賀県任せになっている。対策本部を統括するトップとして佐藤市長からの情報発信はゼロの状態だ。

大津市危機・防災対策課によると、5日の対策会議には、佐藤市長、副市長2人、各部局の部長12人、そして、事務局の危機防災課の職員3人が参加したが、会議の議事録はないという。各課の取り組み資料を配布して、部局間で情報共有しただけと説明している。

大津市の備蓄マスクは、国の調査依頼があった3月2日時点で、18万枚あったというが、その後、どこへどれぐらい配付したのかは、3月24日時点で「わからない」としている。

危機・防災対策課が課として備蓄していた9,000枚のうち5,000枚を、「マスクが不足している市内の医療機関へ市健康保険部保健所を通じて提供した」というが、どこの機関でどれだけ不足し、どこに配布したのか、すぐにはわからないという。5日の対策会議では、マスク提供の話は出ていなかったという。5,000枚を提供する話は、佐藤市長の指示と説明しているが、「いつ指示があったのか覚えていない」としている。

危機・防災対策課は、応対した職員によって、感染症対策や備蓄マスクについての説明が二転三転している。備蓄マスクの情報をシステム化するための作業を始めるのはこれからだという。

滋賀県の健康福祉政策課のホームページ(3月12日更新)では、14日までの必要分について、県内の高齢者施設304カ所で、マスク12万枚が不足しているとしている。そのため、県が備蓄するマスクを、人の出入りが多い136カ所の事業所へ7,000枚を提供し、特養などの入所施設で患者が出た時のために5,000枚を確保したとしている。マスク不足の304カ所には、大津市内の事業所も含まれているという。

周辺自治体の例では、大阪府の吹田市や高槻市では、危機管理室が、それぞれ備蓄マスクの配布状況を市民にお知らせしている。両市とも、ホームページ上で、妊婦さんへのマスク配布の状況も伝えている。

厚労省ホームページによると、マスク不足解消のため、加藤勝信厚生労働大臣が3月19日の記者会見で、「布マスク」を国が一括購入し、介護施設等に配布し、1人1枚行きわたるようにすると言及した。大津市にも、布製マスクを高齢者施設等に配布することについて、厚労省が出した「事務連絡」の文書が届いたという。

大津市は国からの「布マスク」配布を待つだけで、市内の民間事業者に製作協力を依頼していない。

↓佐藤市長の公務日程(3月5日)より

↓滋賀県健康福祉政策課のホームページより/県備蓄マスクを県内の高齢者施設等へ提供

https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/oshirase/310569.html

↓吹田市ホームページ/備蓄マスクの民間施設等への配布状況について
https://www.city.suita.osaka.jp/home/soshiki/div-somu/kikikanri/oshirase/_102489.html

↓高槻市ホームページ/マスクの配布について(配布方法の決定等)
http://www.city.takatsuki.osaka.jp/important/coronajoho/1583311763990.html

↓3月19日の厚生労働大臣の会見
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00226.html

↓厚労省医政局経済課(マスク等物資対策班)から、各都道府県宛の事務連絡文書