情報公開制度を知っている国民は、どれぐらいいるでしょうか。公務員でも、メディア関係者でも、議員でも、オンブズマンや弁護士でもない国民が、「情報公開制度」を使う機会は限られています。
「情報公開制度」とはなんぞや(・・? ちんぷんかんぷん。毎日の生活で忙しい。そんなことをやっている暇はない。そう考える人が大多数でしょう。
しかし、私たちが懸命に働いて納めた税金が、見えない形で、一部の人たちの「遊興費」に使われていたり、特定の団体や企業へ利益誘導をされていたら、どうでしょう。
そんなことはない。税金は、適正に公平に使われている。行政マンが厳しくチェックしてくれているーーー。そんな下衆の勘繰りのような話は、にわかには信じられないという思いを持つ人もいるかもしれません。
かつてのウオッチドッグ記者もそうでした。しかし、大津市に住んで、ある地域の自治連合会長による補助金の私的流用、不正事件が明るみになった時から、その考えは一変しました。「何かおかしい」と。
「情報公開制度」を使い、補助金を支出している大津市の関係文書を3年間で調べつくしました。2009年度から2017年度までの8年間の関係文書を洗い出し、350件以上の公文書に目を通しました。調査した課は、市民部の自治協働課、環境部の廃棄物減量推進課、環境政策課、施設整備課、など。
すると、どうでしょう。
一部団体へ使途不明な補助金が、毎年、じゃぶじゃぶ支出されていました。団体が提出した実績報告書を入手すると、領収書がついていない報告書が多数見つかりました。領収書がなくて、使途不明なのに、行政は団体へ金を出していました。一般企業では考えられないことです。
ウオッチドッグ記者は、不適切な公文書を入手して、「大津WEB新報」というホームページ上で報道し続けました。行政側は、不適切な文書が明らかになると、慌てて次の隠蔽を考えだしました。それを見つけて、また明らかにしました。これを繰り返すことで、行政内部の膿を出し続けました。
団体役員は、市民清掃の補助金を使い、寿司屋で食事をしていました。
寿司屋だけでなく、うなぎ屋でも食事をしていました。
別の補助金では、市職員と一緒に温泉旅行をしていた領収書も見つけました。
また別の補助金では、コンパニオン同席の宴会も開かれてました。
個人負担で個人の会合を催すには、いくらでもやればいいでしょう。そうではなく、市の公金から高級ホテルの会場代を支払い、そこに市の補助金で運営している任意団体が、コンパニオンを呼んでいました。コンパニオン代は、「給仕費」として、補助金から支出されていました。
不適切補助金のオンパレード。ただただ「驚愕」 😯 😯 😯 。市民が汗水流して納めた税金が一部団体の「遊興費」に使われていました。任意団体の長らが、公務員の行政職員を配下に従え、市政をおもうままにしていました。
情報公開法の目的は、「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資すること」ということです。
大津市にも「情報公開条例」があります。
ところが、実際に、情報公開請求をすると、あの手この手で、公文書を出さない手練手管を使ってきました。
「破棄したので存在しない」、「補助金事業の見積単価を黒く塗りつぶす」、「公共的団体の役員名簿の非公開」、「会議録の一部発言を黒塗り」などなど。
真っ黒に塗りつぶしました。見えなく塗りつぶす、
または、公務で受け取った資料を1か月も経たないのに、「見るだけ見て必要がなくなったから、焼却した」と堂々と説明した職員もいました。
条例の趣旨に沿った非公開なら仕方がありません。そうでなく、行政側の裁量で、黒く塗りつぶして、隠しているケースがほとんどでした。不服を申し立て審査会に、あらためて審査請求をすると、「公開するのが妥当」と行政側の判断がひっくり返ったことがありました。
こんな自治体は、大津市だけかと思いきや、他自治体でも、国でも同じようなケースがあるということを報道で知りました。例えば、森友学園問題で近畿財務局も同じことをしていました。 😯 😯 😯
行政は本来、法律と条令を根拠としたあらゆる施策を実施するため、文書に記録して、保管します。国民、都道府県民、市民の税金を使う以上、公平で透明で民主的な運営と、公金を預かる側の説明責任が求められます。公文書の保管は、行政の最重要事項です。
真っ当な自治体ほど、情報公開制度に積極的で、公文書を見せることに、何らのためらいも見られませんでした。
情報公開制度は、自治体の民主主義に対する考えと行政レベルを測るバロメーターといえます。
読者の皆さんも、気になることがあれば、情報公開制度を使ってみましょう。どの自治体のホームページにも、情報公開制度の使い方が掲載しています。身近な自治体の真の姿を、この目で確かめることが出来るかもしれません。