京都市の西本願寺近くにある旧小学校の跡地(4.713㎡)活用をめぐり、校舎とグランドを潰して外資系ホテルを建設する計画が2018年から浮上し、地元の協議が最終段階に入る。

当初は、避難場所となる体育館を、近くの公園地下に新設する案が出ていたが、地元住民から、反発の声が出て「地下避難所」の計画案は撤回に至った。業者は今年2月、避難所となる屋内運動場をホテルに併設する形で作るという修正案を出した。修正案では、グランドの代わりとなる多目的広場は、公園全体の半分のスペースしかない。新たな多目的広場が、約2,800人が住む学区の避難場所として、適当な広さなのか懸念する声も出ている。

グランドを全て潰して、跡地いっぱいにホテルを建設することについて、地元住民らは「災害のことを考えていない」と反発を強めている。京都市の保健福祉総務課によると、この学区の災害時の要援護者数は、152人という。

↓修正案のグランドの代わりとなる「多目的広場」/現在、ミニ遊具のある小公園

小学校は児童数が減ったため、9年前に統廃合して閉鎖した。小学校の校舎一部と体育館は、地域住民が活用していたが、昭和30年代に建設された建物のため、老朽化が激しかった。2018年2月に、地元自治連合会が、京都市へ、旧小学校の跡地活用についての要望書を出した。自治連合会の役員と有識者6人で構成する選定委員会が5回開催され、2019年2月に東京の安田不動産が契約候補事業者に選ばれた。

◆京都のホテル建設、誘致から規制へ

京都市のホテル建設をめぐっては、京都市の門川大作市長が、「宿泊施設が足りない」ということで、過去に民泊を奨励していたが、2019年11月に方針を転換した。

↓2019年6月29日付・週刊現代/京都・民泊バブル「はしご外し」の顛末
優先すべきは観光か? 市民生活か?
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65445

↓2019年11月21日付・読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/national/20191121-OYT1T50094/

◆災害時に欠かせない「避難所」

小学校の体育館やグランドは、災害時の物資の配給や輸送、そして、一時避難場所として使われたりと、地元住民にとって欠かせないものとなっている。小学校の建物を撤去した後、跡地をいかに活用していくのか。自治体には、地元住民の声に耳を傾け、活用方法を一緒に模索していく誠実さが求められる。

↓西本願寺周辺で、災害時にヘリコプターが着陸できるようなスペースは、小学校跡地のみ

◆参照ユーチューブ:東日本大震災の救命活動と避難所の様子