明治のジャーナリスト、宮武外骨の『滑稽新聞』をウオッチドッグのサイトで紹介してきた。宮武外骨は大正時代に、滑稽新聞の次に人気を博した雑誌『スコブル』を発行した。『スコブル』は滑稽新聞ほどの激しい筆致は少ないが、円熟した編集の妙が感じる雑誌だった。

その大正5年の雑誌『スコブル』の広告蘭に、宮武外骨が江戸時代後期の戯作者・浮世絵師の山東京伝(さんとうきょうでん)の評伝を編纂したという広告が掲載されていた。宮武外骨は、山東京伝についての本を集め、その著作と人物像を研究し大正時代に評伝の形にまとめ出版した。

江戸時代の山東京伝の書いた本や挿絵などを見ると、『滑稽新聞』は、江戸時代のうがちや洒落、滑稽の妙趣を取り入れた新聞だったということがよくよく理解できた。江戸の古い文化を取り入れて、そこに明治の近代的な新聞という新しい風を吹き込み、宮武外骨は『滑稽新聞』を作り上げた。

明治、大正と新聞、幾多の本を出版してきたジャーナリストの宮武外骨は、江戸のマルチクリエーター山東京伝をどう評価したのか。

江戸時代における戯作者作家の巨星といえるのは曲亭馬琴の師匠だった山東京伝である。昔の人が「京伝後の小説と戯作の大半は彼によって定められたものが多い。彼は本当に自ら創造しまたいろいろなものを生み出した者である」といっていた。それだけでなく、その文章の妙趣はいわゆる京伝流の模範を示しており、着想の奇抜さは古今無双の意匠家として尊重された。加えて、彼は実に多能精励の人物でもあった。その技芸はまた多かった。

浮世絵師としての北尾政演
狂歌師としての身軽折輔
雑学者としての醒々斎主人
商売人としての京屋伝蔵

(いずれも山東京伝の多彩な才能を示す) ~スコブル掲載の広告~         ウオッチドッグ記者が現代語訳

ウオッチドッグ記者

宮武外骨がこれほど惚れ込んだ山東京伝の本と文章はどんなものだったのだろう?

興味をもったウオッチドッグ記者は、宮武外骨編纂の『山東京伝』を古本屋で入手した。

宮武外骨編纂『山東京伝』

ちょうどこの頃(2025年1月頃)、江戸時代のメディア王だった蔦屋重三郎の人生をNHKの大河ドラマで放映をすることを知った。蔦屋重三郎は、山東京伝と共に江戸文化をけん引した人物。

ウオッチドッグ記者

山東京伝の役は、俳優の古川雄大さんが演じるようね。

古川雄大「べらぼう」で大河ドラマ初出演 女泣かせの才人・山東京伝役、追加キャスト9名発表|シネマトゥデイ

大河ドラマで江戸時代の文化が取り上げられるせっかくの機会。山東京伝のことをとことん調べた宮武外骨の編纂本をウオッチドッグ記者が現代語訳し、WATCHDOG新聞で随時、発信する。テレビでは人物像がドラマ仕立てに脚色される可能性があるので、宮武外骨の編纂本を通して、できるだけ本来の姿に近い山東京伝像を知ることができれば面白い。

↓宮武外骨編纂の「山東京伝」
 WATCHDOG新聞で現代語訳を掲載中

https://newspaper.watchdog-journalism.com/category/santou-kyouden