大津市は5月25日に、市ホームページで、市役所内における新型コロナウイルスによる職員11人の集団感染(クラスター)発生に関して、市保健所による「積極的疫学調査」の最終報告書(抜粋)を公表した。滋賀県の対策班との合同調査の結果として、全体として一連の対応は適切だったとする内容になっている。しかし、不十分な検証のまま、自らに都合のよい部分だけを抜き出した形になっており、身内びいきの“大甘”の調査結果となっている。全庁閉鎖直前まで市役所への市民の立ち入りを禁止しないなど、実際には後手後手の対応だったことが、全く問題視されていない。

市役所内でクラスターが広がる中、市は右往左往し、方針がブレた。対応は遅れに遅れていた。例えば、職員1人目の感染が確認されたのは4月11日だったが、県に対する調査要請は4月20日になってから。その時点で感染が確認された職員は11人に上っていた。しかし、市保健所の最終報告書は、「1例目の発生直後から、(中略)拡大防止対策は適切に行われた」、12日間の全庁閉鎖も「適切な判断であった」と総括している。

市役所内のクラスターについては、市保健所が5月4日、「中間報告書」を佐藤健司市長へ提出している。5月7日の記者会見で、その内容について記者から問われると、佐藤市長は、一部分を説明しただけだった。中間報告書自体は会見で配布されず、市HPにも掲載されなかった。記者に「一連の対応を統括される予定はありますか?」と問われると、「公表すべき内容があれば公表したいと思います」と話し、積極的な姿勢を見せなかった。

その後、5月25日に開かれた市の対策本部会合で、市保健所による「最終報告書【抜粋】」が示された。

2日後の5月27日になると人事課が、市民向けの「対応策」を、パワーポイント形式で市HPに掲載した。対応策だけでなく、「4月からの発生状況や市の対応」、「保健所による積極的疫学調査」、「県による合同調査の結果(抜粋)」などが、ごちゃ混ぜになった、非常にわかりにくい資料となっている。

ウオッチドッグは今後、市保健所の調査結果や、その元になった県による調査結果を詳細に読み解き、シリーズで、問題点を徹底的に指摘していく。

↓ 5月7日・佐藤市長の記者会見/読売新聞の記者からの質問

↓ 5月7日・佐藤市長の記者会見/産経新聞の記者からの質問

↓ 5月25日の市対策本部の会議資料として、市保健所による「最終報告書」が示された。

↓ 市保健所が発表した「最終報告書」のタイトル

↓ 5月27日に人事課が、市役所内のクラスター発生に関する調査と対応策について、「対応策」をパワーポイントのファイル形式で発信した。

↓ 人事課がまとめ「対応策」の「表紙」/市民センター統廃合問題の時もよく見かけたパワーポイント形式による発信