大津市が、新型コロナウイルスに感染した職員の情報を市ホームページで発信しながら、その後、2例について内容を改変し、再掲載していたことがわかった。書き換えたり、削除したりしていた。いずれも4月20日で、市が滋賀県の対策班に対し、市役所内での集団感染について疫学調査を依頼した日と重なる。市人事課は「4月20日に、都市計画部の執務室の業務体制に変更があったから(4月12日の情報を)変えた。意図的な改変ではない」と釈明している。

改変が行われたのは、1例目と3例目の職員についての情報。1例目に関する情報発信は4月12日だった。市役所で初の感染者が出たことを踏まえ、「このことにかかわる執務室などの消毒については、すでに完了しましたので、13日より業務は通常通り行います」としていた。しかし、20日になって、この内容を「市民の皆様には、業務・窓口体制の縮小等の影響により、ご不便をおかけ致しますが、ご理解、ご協力のほどお願いいたします」という新たな文言に差し替えた。

12日時点で、業務・窓口体制を縮小する案はなかった。4月11日付の京都新聞も、「13日から通常業務を行うとしている」と報道している。

一方、3例目に関する情報発信は14日に行われた。対策として都市計画部のフロア(本館3階西側)については、既に閉鎖し、執務室の消毒作業にあたっております」、「都市計画部の窓口業務については、本館5階に場所を変更のうえ、業務を縮小し、4/15(水曜)の13時より再開いたします」などとしていた。しかし、20日なって、これらの文言は削除された。

HP上における、断りなしの過去情報の改変について、人事課は「たまたま20日に業務体制の変更が起きたため」と、県への調査依頼との関係を全面否定している。

行政が情報を発信する際の一般的なルールとして、HPに日付とともに掲載した情報を、後になって、何の注釈も付けずに内容を改変することは、正確性が求められる記録としては認められない。修正、削除する場合は、理由と共に、当該カ所を示さなければならない。

例えば、1例目の感染に関する情報は、4月11日に確認され、市は翌12日にHP上に発信した。しかし、改変後の情報をそのまま読み取ると、12日に発信した事実と内容をかき消し、4月20日になって初めて発信したことになってしまう。市は「意図的な改変ではない」と釈明しているが、こうした理由とともに、改変した内容と経緯を説明する必要がある。

ウオッチドッグは、国の緊急事態宣言が発令された後、市に動きがあったときを中心に、関連部署がHP上に発信した情報を画像として、頻繁に取り込んでいた。市役所内の集団感染について検証していたところ、4月12日に確認した内容と、20日以降の内容が異なっていたことが分かった。

4月12日の改変前/人事課「お知らせ」/職員の発生について
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1つ目の改変。4月12日に発信された上の内容が、20日になると、下の内容に変えられていた。12日には、業務、窓口体制の縮小の話は全く出ていない。
4月20日の改変後/人事課「お知らせ」/職員の発生【1例目】について
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京都新聞も、「13日から通常通り業務を行うとしている」と報道していた。

↓2020年4月11日付・京都新聞の記事より/「13日から通常通り業務を行うとしている」

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2つ目の情報改変は次の通り。
4月14日の改変前/人事課「お知らせ」【3例目】
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14日に発信された情報は、上の内容だったが、20日には、対策などの情報を丸々削除し、下の内容に改変した。14日に3例目が判明し、お知らせ済みなのに、20日に更新している。「本日」という出だしなのに。
4月20日の改変後/人事課「お知らせ」【3例目】/一部、内容が削除された
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県対策班3人は、市からの調査依頼を4月20日に受け、翌21日に本庁舎の調査している。滞在時間は、約3時間だった。既に、この時は、20日の庁内協議で、全庁閉鎖が決まった後だった。21日の記者会見で、市長が「閉鎖」を発表した。記録としての体をなさない市の情報を元に、県対策班はどのように調査したのだろうか? 最終報告書(抜粋)に、4月11日から17日までの市の対応に関する、県対策班の調査結果が書いていない。

↓2020年4月21日の大津市長記者会見から(抜粋)