1月28日(日)深夜に、毎日放送(MBS)のドキュメンタリー番組「映像´18」で、「再審決定~元看護助手・無実の訴え」が放送された。毎日放送は、番組の最後にこう締めくくっている。「責められるべきは、事実を丁寧に積み上げる取り調べをせず、美香さんに架空のストーリーを自白させた警察の捜査手法だ」と。

毎日放送:私は殺していない~呼吸器外し事件の真相~
再審決定 ~元看護助手・無実の訴え~

去年12月、ある裁判の再審が認められた。再審を請求していたのは、元看護助手の西山美香さんだ。美香さんは13年半前、滋賀県の湖東記念病院で起きた「人工呼吸器外し事件」の犯人として逮捕された。裁判では無罪を主張したが、取り調べ途中の自白は信用できるとして懲役12年の刑が確定。だが美香さんは、獄中から無罪を訴え続けた。12年9月に申し立てた再審請求(第二次)では、弁護団は死亡した男性患者について、他殺ではなく自然死の可能性を指摘した。「これは事件でも事故でもなく、警察によるでっち上げだ」と…。そして去年12月20日、大阪高裁は「患者が自然死した合理的疑いが生じたので、自白の信用性もない」として、再審開始を決定。自白偏重の日本の司法では画期的なことだった。番組では、出所後の美香さんの独占インタビューも含め、20代から30代にかけて大事な時間を奪われた一人の女性が、「殺人罪」の汚名を晴らして、再び生き直そうとする姿を追う。

殺人犯として12年も服役した元看護助手の西山美香さんの再審開始が決定したのは、昨年12月。その7ヶ月前の5月14日から、中日新聞の取材班が、自白の「自発性」が疑問だとして、西山美香さんの事件を追及し始めた。中日新聞は、5月14日から12月まで、13本の記事を発信し、事件の全容に迫っている。
5人の取材班の中心となったのが、中日新聞大津支局の角雄記記者。西山美香さんが家族に宛てた手紙もしっかり読み込み、さまざまな角度から検証し、西山美香さんの事件は冤罪ではないかと問題提起している。中日新聞の一連の報道は、1人の女性の人生を変えた真実に迫る調査報道といえる。