毎日新聞の「公文書クライシス」が、公文書管理や情報公開に関する情報提供を呼びかけている。
https://mainichi.jp/crisis/
公文書クライシスは、「国」、「自治体」、「法制度」、「自衛隊PKO日報問題」、「加計学園問題」、「森友学園問題」、「歴史の記録」のカテゴリーに分け、公文書に関する請求内容や問題点を記事にして発信している。
1月31日付朝刊の記事では、次のように報じている。
安倍晋三首相や安倍政権のすべての政務三役(大臣、副大臣、大臣政務官)が職務上送受信した電子メールを毎日新聞が情報公開請求したところ、副厚生労働相が送信した1通しか開示されなかった。逆に閣僚が国会答弁などで使用したと明かしたメールを削除したとして開示しない例もあった。政務三役のメールがほとんど公文書として保存されていない実情が浮かび上がった。
官邸だけでなく、各省庁の公用電子メールの取り扱いも問題が多いという。
例えば、「財務省、メール「60日廃棄」継続 システム更新後も」という記事では、省庁で利用が急増している公用電子メールについて、財務省は送受信から60日で自動廃棄している実態を明らかにしている。
別の記事では、米国の事例を紹介。ヒラリー・クリントン元国務長官の在任中の私用メールアドレス問題が2016年の大領選の敗因の一つになったといわれていることを取り上げ、メールが貴重な公文書だと認識されているとしている。他国と比較して、日本では、官僚の裁量でメールが廃棄されてしまう、取り組みの遅れが際立っていることを問題視している。
一般市民には、馴染みのない「情報公開制度」だが、世間を呆れさせた兵庫県の野々村竜太郎元県議の政務活動費300万円の不透明な使途を暴いたのは、神戸新聞記者の情報公開請求が発端だった。
国有地を8億円値引きで払下げされた森友学園の問題でも、発端は、豊中市の木村真市議の情報公開請求だった。
このように、情報公開請求しなければ、国民、県民、市民を欺いて、税金を喰いものにした不正や汚職が隠れたままになっていた。
毎日新聞の「公文書クライシス」は、隠された文書の開示を求め、取材と追及を続けている。インターネットが普及し、公用電子メールが増加する中、施策プロセスがわかる公文書が、政治家や官僚の裁量で破棄されることがないよう、公用電子メールの保存についても他国並みの水準にあげる制度づくりが必要ではないかと問題提起している。