大津市の住民監査請求では、市長が意見書を監査委員へ提出することが常態化しているが、関西や北陸などの府県庁所在地では、市長が監査委員へ意見書を提出していないことが取材でわかった。他自治体の監査委員事務局へ「市長の意見書」についての有無を問い合わせると、「なんですか? それは?」と聞き返され、「他自治体のことなのでやり方が違うのかもしれないが…」と前置きしながら、「市長が意見書を監査委員へ提出する意味がわからない」とする回答が多かった。
例えば、大阪市の2022年5月の住民監査請求の監査結果では、「職員らに調査を行った」とだけ記載している。大津市の監査結果に記載しているような「市長の意見書」の提出や、「関係職員が市長の意見書に沿って陳述」などの記載はない。

なんですか?「市長の意見書」? 大阪市ではないです。

大津市が変わったことをしているんですよ。

自治体によって違うのかもしれませんが、住民監査請求書を受け取ったら、請求人の陳述があり、陳述まで日がある場合は、その前か並行して、関係部局へ聞き取りをします。大阪市では、松井市長が意見書を出すということは、今までにないです。

大津市では、市長の意見書を監査結果に書いていなくて、監査委員事務局が請求人に情報公開請求しろって言っているんです。

それは聞いたことがないですね。もし、意見書をいただいたとしても、概要でまとめたり、そのまま意見書として出すなりしますけど。

そうでしょう。私もそう思います。

奈良市長は「意見書」を監査委員へ提出していない。

京都市長は「意見書」を監査委員へ提出していない。
市長は「意見書」を監査委員へ出していないと言っていた自治体は他に、岐阜市、福井市、金沢市の各監査委員事務局。3市の事務局の職員らも「へっ?」、「どういうこと?」と、質問の意味を飲み込めないという対応だった。大津市で住民監査請求すると、大津市長が監査委員へ意見書を提出するという話をすると驚かれた。

住民監査請求の直後、市長が監査委員へ意見書を提出する自治体は、全国的にも珍しいのでは。