ウオッチドッグは、琵琶湖市民清掃の問題を2014年から追っている。2014年の調査時は、過去5年分(2009年~2014年)の関連文書を根こそぎ大津市へ情報公開請求して入手した。これまで、過去13年分の調査資料と、公文書が公開された後の市の対応と、団体や業者へ支出するカネの変遷をみてきた。数年で入れ替わる大津市の担当職員より、この事業の全貌を掴んでいると自負している。

数々の文書を精査し、過去の大津市政の記録なども読んできた。市民から批判されたり、隠していたことがバレると、大津市と、市自治連合会が中心となっている「琵琶湖を美しくする運動実践本部」(以下、実践本部)の幹部らは、急いで次のカモフラージュを(役員会などで)考えだし、なんとか継続できるように取り繕ってきた。その経緯の中で、あっさり変更したものがある一方、実践本部が固執したものがある。それが「土砂」だ。

そもそも土砂は、大津市では収集できない。他市の美化活動でも、数時間の市民清掃で、土砂を収集するというのは想定していない。

廃棄物処理法の施行にあたって、環境省は1974年(昭和49年)3月25日に、厚生省環境衛生局長(当時)名で、各都道府県知事・各政令市市長宛てに、「廃棄物の適正な処理を行うための処理体系の整備を図ることによって生活環境の保全に努めるため規定したものであるので、この趣旨を理解した上で、法の運用をしてほしい」という内容の通達文を出している。

↓環境省ホームページ

https://www.env.go.jp/hourei/11/000516.html

環境省は、この通達文の中で、「土砂」の取り扱いにも言及。土砂は廃棄物処理法の対象となる廃棄物ではないとしている。

 廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、汚でい、廃油、ふん尿その他の汚物又はその排出実態等からみて客観的に不要物として把握することができるものであって、気体状のもの及び放射性廃棄物を除く。固形状から液状に至るすべてのものをいうものであること。
なお、次のものは廃棄物処理法の対象となる廃棄物でないこと。

ア 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの
イ 漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行なった現場附近において排出したもの
ウ 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの

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「廃棄物の適正な処理を行うための処理体系の整備を図ることによって生活環境の保全に努めるため規定したものであるので、この趣旨を理解した上で、法の運用をしてほしい」と国が法を定めたも関わらず・・・。大津市は、南部で計量してませんでしたけど。この処分方法ないでしょ、って取材して思った。

【解説】不透明な事業「琵琶湖市民清掃」/琵琶湖市民清掃№1

業者らの便乗投棄か/20年前はごみ1,400㌧/「わからない」と大津市/琵琶湖市民清掃№30

20年以上前の1994年に1,400トンなんてごみ量を市民清掃で集められるわけない。とてつもない量。1,400トン集めた年の参加人数は、約7万人。子どもから高齢者まで、1人平均20キロのごみを集めた計算になる。常識的に、大人1人が集め、運搬できる量ではない。

2021年7月1日に滋賀県内の全域で行われたびわこを美しくする運動(大津市以外)のごみ量は、109トンで参加人数は、41,987人。1人平均2.6キロの計算になる。

大津市以外の滋賀県内の18市の市民清掃は、「泥、土砂」を収集運搬していない。単純に比較すると、1,400トンのごみ量のうち、200トンを草木ごみと仮定すると(県の清掃参考)、「泥、土砂」の量は1,200トン。

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1,200トンほどの大量の土砂が、市民清掃の側溝の泥の訳がない。
では、何か・・。建設関連の土砂の便乗投棄が繰り返し行われていたとしか考えられない。

市民清掃の3割超は泥/本当に「側溝の泥」?/2016年は100㌧/市民清掃№19

業者と土砂運搬の契約締結/HPでは「地域で処理」呼び掛け/琵琶湖市民清掃№18