大津市の越直美市長は、9月2日に市議会へ提出したコミュニティセンター条例案を、撤回した後に、修正案を再提出すると、30日に市議会で約束しておきながら、急転直下、再提出を「見送り」とした。10月3日の市議会で「最提出をしないと判断した理由」を問われた越市長は、「大津市自治連合会の理解を得るため」と釈明した。しかし、市民センター統廃合や公民館のコミュニュセンター化については、5年前の2014年から越市長がトップダウンで、コンサルタント会社に計画案の作成を業務委託するなど、市民が知らぬ間に計画をどんどん進めていた。その一方、大津市は、大津市自治連合会に対し、至れり尽くせりで何度も報告、説明してきた経緯がある。

市長の稚拙な進め方を以前から問題視してきた、杉浦智子市議(共産党)と谷祐治市議(清正会)は、「大津市自治連合会の理解を得るため」という答弁に終始した越市長に対し、「市民と議会に向き合っていない」、「議会との約束を反故にした」、「庁内協議の意志決定のプロセスが不透明」「やっていることが全て後づけ」「これまでの議会での質疑はなんだったんだ」などと、批判を強めた。

こうした厳しい批判について、越市長は「これまでも、市民や議会にしっかり対応してきた」と、自身の市政運営には問題がないとする答弁を繰り返した。

市議会にとって、30日に約束した条例案の再提出が反故にされた形だが、最大会派の湖誠会(10人)や親和会(10人)が沈黙した。また、谷市議が提案した真相究明に関する動議を否決した。

ウオッチドッグの取材と市議会の動きは、次の通り。

9月30日(月)
越市長が、9月2日(月)に提出したコミュニティセンター条例案を撤回し、今会議中に修正案を再提出したいと、市議らへ説明し「撤回」が可決された。

10月1日(火)
午後
大津市自治連合会の定例会が開かれた。「撤回後にすぐ再提出するのはいかがなものか」、「地域に説明する時間がほしい。見送ってほしい」などという意見が、一部の学区自治連合会長から出た。しかし、36学区自治連の意見を集約したり、市へ見直しの要望を出したりはしなかった。16時30分に終了。

16時30分~
市長室で、越市長と井上市民部長、大津市自治連合会の4役らが、公民館のコミュニュセンター化についての意見を交わした。この集まりは、当初からセッティングされていた。その集まりの中で、4役が市側に「地域に説明する時間がほしい。見送ってほしい」と口頭で要望した。

その後、越市長は、ラグビーワールドカップの船上パーティーへ。

18時
鷲見徳彦副市長が谷市議を訪れ、「コミュニティセンター条例の新案の提出を今会議で見送ることにした」という話をした。副市長が、他の議員らへ、いつ、どのように伝えたのかは不明。

21時~
越市長、鷲見副市長、國松総務部長、井上市民部長らが協議。日渡教育長は、この協議には参加せず、後から決定について聞いた。(※指摘を受け、10月4日10時に、教育委員長を教育長へ修正した)

その後、市民センター改革推進室など、担当部署の職員らへ、市長と部長らの決定事項が伝えられた。

10月2日(水)
15時~
越市長ら執行部が、市議会の議会運営委員会で、各会派の代表に、コミュニティセンター条例の修正案を見送りすることにしたと説明した。2人の市議の緊急質問の通告が認められた。

10月3日(木)
13時~
本会議で、越市長がコミュニティセンター条例の修正案を提出せず、見送ったことに対して、2人の市議から緊急質問があった。「1日に鷲見副市長が、他の市議にどう伝えたのかを調査してほしい」という谷市議が出した動議は否決された。谷市議の動議を否決したのは、越市長とべったりだった湖誠会と、湖誠会から分派した親和会(細川俊行市議だけは動議に賛成)、市民ネット21、公明党の市議ら。(ウオッチドッグ記者が映像確認した限り)

↓大津市議会HP/10月2日の議会運営委員会

↓10月3日の本会議で緊急質問を行った市議2人

↓参照:2015年12月11日付の大津WEB新報の記事/この当時から、コミュニティセンターについては、話題満載だったが・・。