新型コロナウイルス感染の緊急事態に全く機能しなかった大津市議会BCP(業務継続計画)をめぐり、計画の「見直し改定」作業が、定めたルールを逸脱した形で3月に行われていたことが明らかになった。しかも、つじつまを合わせるため、事後に計画の内容を修正していたことも分かった。自ら定めたルールを遵守しないということが、大津市政だけでなく、大津市議会でも常態化していることが浮き彫りとなった。しかし、議会事務局は「あくまでも計画なので」と、手続きに問題はないとの見解を示している。
2016年3月(第2版)BCPでは、「議会BCPの見直しは、対策会議を中心に行う」としていた。ところが、今年に入ってから、新型コロナウイルス感染が広がる中、市議会は5月上旬まで、災害対策会議(当時の委員長は、議長の近藤眞弘市議)を一度も開催しなかった。開催したのは5月11日になってから。それまでは、計画自体の見直し改定はできないはずだった。
しかし、市議会は3月、災害対策会議を開かないまま、議会運営員会(当時の委員長は、竹内照夫市議)で、計画の見直しを行った形を取り繕った。その際、計画を第3版に改定し、「議会BCPの見直しは、議会運営委員会が行う」と、つじつま合わせをした。
地方自治法第109条によると、議会運営委員会は、議会の運営、会議規則、委員会などに関する条例、議長の諮問に関する事項などの調査を行うことや、議案、請願等を審査するとしている。災害時に、議会運営委員会へ特段の権限を持たせることは、地方自治法には規定されていない。大津市の議会運営委員会は、1人会派がオブザーバーとしてしか参加できないなど、多数会派が運営の中心を占める形になっている。
市議会事務局は、「災害対策会議も、議会運営委員会もメンバーはほぼ同じですから。BCPはあくまでも計画ですから」としている。
大津市議会BCPによると、災害対策会議は、議長が委員長で、会議の事務を統括するとしている。各会派の代表者は、委員長の指示のもと、任務にあたるとしている。しかし、第3版の改定で、見直しの権限は「議会運営委員会」が担うことになる。議会事務局や各市議からの情報収集と伝達が、対策会議と議運のどちらに寄せられるのか、このままでは、災害時の指揮命令の混乱が予想される。
↓地方自治法・第109条/e-Govより