大津市議会が2014年に「全国初」と派手にPRしていた災害時の「大津市議会BCP(業務継続計画)」が、今回の新型コロナウイルス感染症の対応では、全く機能していなかったことがわかった。計画によると、対象の災害例として「新型インフルエンザなどの感染症」を挙げ、市の対策本部とは別に、市議会は独自の「対策会議」を設置し、「相互協力体制」を築くとしている。しかし、市議会は国の緊急事態宣言が発令された4月7日以降、1カ月間、動かなかった。初会合を開いたのは5月11日で、宣言が解除される3日前だった。

大津市の新型コロナウイルス感染症危機対策本部は、2020年1月31日に設置されている。議会BCPが想定する災害に照らし合わせると、新型インフルエンザなどの感染症も該当する。さらに、4月に入ると市役所内では集団感染(クラスター)が発生、12日連続で全庁閉鎖する事態に陥っていた。ところが、市議会は、対策会議を立ち上げていなかった。

対策会議を設置しなかった理由について、議会事務局は「議会運営委員会で、代わりに協議できるため」と説明しているが、議会運営委では、新型コロナに関して一切、協議が行われていなかった。

2014年に作成されたチラシでは、「市民の声 市に反映」という新聞報道を転載し、「二元代表制の機能発揮」という美辞麗句が並んでいるが、緊急事態には全く活用されなかった。

滋賀県の緊急事態宣言が解除される3日前の5月11日に、市議会は「災害対策会議」を設置し、初の会議を開いた。緊急事態宣言下でも「対策を行った」という形だけのアリバイ作りの色合いが強い。対策会議の委員長でもある議長の近藤眞弘市議(湖誠会)は、1週間後の18日に議長を交代し、委員長も降りた。1週間だけの対策会議の委員長だった。

4月7日に7都道府県が、16日には全国を対象に、国が緊急事態宣言を発令した。4月中旬には、大津市役所内でクラスター発生など、大津市政はかつてない緊急事態だった。それでも、市議会は対策会議を設置することはなかった。
※取材では「対策本部」と聞いてましたが、BCPでは「対策会議」となってますので、5月29日21時、対策会議に修正しました。

↓大津市議会BCP(業務継続計画)抜粋

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今となっては、恥ずかしい「地方議会で初」の議会BCP。ダメダメ議長らの元では、策定しても役立たず。計画作成に関与したという同志社大学の新川達郎先生は、議員らにどんなご指導をされたのでしょうか。気になるわー。

「議会運営委員会で、感染症対策の協議ができるから、対策会議を設置しなかった」という議会事務局の説明だったが、2月の議会運営委員会で、新型コロナ感染症の対策について、協議されていない。ウオッチドッグ記者が、傍聴した。

↓参照:2020年2月18日付・ウオッチドッグ

【議会村潜入記①】/「全国から注目?」の大津市議会を実態調査/ウオッチ市議会№31

↓参照:2020年2月21日付・ウオッチドッグ

【議会村潜入記②】「互いにけん制しながら?」/市議会と市長は「両輪」?/議会村の慣習が優先/ウオッチ市議会№32

↓参照:2020年2月25日付・ウオッチドッグ

【議会村潜入記③】多数会派が議会運営を支配/メディア各社は取材せず?/ウオッチ市議会№33

本庁舎閉鎖中の市議会ホームページの状況と、2月議会の公明党の代表質問について、報道した。

2020年5月5日付・ウオッチドッグ

「市議会だより」に掲載せず/新型コロナ対策めぐる質疑/公明党の代表質問/【音声付き】ウオッチ市議会№36