ウオッチドッグとは、「番犬」のことを指します。調査報道のことを、「ウオッチドッグ・ジャーナリズム」=「番犬ジャーナリズム」といいます。

ウオッチドッグ記者は、2011年まで、「調査報道」というものを知りませんでした。2011年に、ウオッチドッグデスクの小黒純が編著した「権力VS調査報道」という本の中で、初めて知りました。当時、ウオッチドッグ記者は、社会福祉の問題を調査していました。

 

 

 

 

英語版Wikipediaの「調査報道」を小黒純氏がこう訳している。

「調査報道とは、記者が関心を持ったテーマについて、深く調査するジャーナリズムの一形態。しばしば、犯罪や政治的腐敗、組織的不正などが対象となる。調査報道記者は通常、調査と報道の準備に数か月から数年かける。ほとんどの調査報道は、新聞社や通信社、それにフリーランスのジャーナリストが手がける。実践している人たちは、「ウオッチドッグ(番犬)ジャーナリズム」「説明責任の報道」などと呼ぶこともある」 ~権力vs調査報道より

この本が出た3年後、ウオッチドッグ記者は、大津市と自治会の問題を調査して、ネットで発信しました。ウオッチドッグ記者は、意識しませんでしたが、小黒デスクは、「これは調査報道だ」と話しました。

「おかしい」という思いで、しつこく調査してネットで報道してきましたが、この形態を「調査報道」というのかと初めて知りました。

「調査報道」は、新聞社の記者が、仕事として当たり前にやっているものだと思っていたが、そうではないということも初めて知りました。

組織に属さないウオッチドッグ記者の主たる情報源は、情報公開請求で入手した資料でした。おかしな資料を見つけると、その関連資料を次に入手しました。同じ事業でも、複数の課にまたがっているものもありました。それぞれ入手して突き合わせました。さらに、その事業の過去からの現在までの変遷も調査しました。そうすることで、事業全体の構造と不正の隠蔽方法、権力の意図する背景が、くっきりと浮かびあがりました。縦軸と横軸を見ることが、調査の基本ということを掴みました。

調査の仕方や、取材方法は、野生のカンでした。調査当初のウオッチドッグ記者は、<野犬>のようなものでした。怪しい事業やおかしなカネの流れには、妙に鼻がききました。<野犬>のようなウオッチドッグ記者を、小黒デスクが、情報公開制度の使い方、記事の書き方を叩き込んで、一定の型にはめ、<番犬>にしたててくれました。

ウオッチドッグ記者は、情報公開制度を使った「権力監視」の調査報道をしてきたが、原点に立ち返った「ウオッチドッグ・ジャーナリズム」を目指したいと思うようになりました。

小黒デスクが「権力vs調査報道」の中で、「調査報道とは何か」を書いています。

「権力監視」と「社会的弱者の視点」

「調査報道は、埋もれている社会の不正や、弱者が泣き寝入りしている理不尽な状況を掘り起こす」「公権力に屈せず、常に弱者を思いやり、事実をどん欲に追及する」(山本博[2009]22頁)というジャーナリズム活動であると位置づけられる。すなわち、調査報道の原点は「権力チェックであり、もう1面で「社会的弱者」の置かれた状況を可視化するジャーナリズムでもある、と言える」 ~権力 vs 調査報道より~

ウオッチドッグ記者は、新たな「ウオッチドック・ジャーナリズム」を目指します。