大津市の市民センター統廃合問題をめぐり、以前公開した公文書を、今回非公開にしたのは「ミス」だった、と大津市は説明している。それを真に受けたのか、朝日新聞や京都新聞なども、記事の見出しに「ミス」という言葉を用いて報じている。もし、大津市に対して批判的な記事を書いたつもりなのであれば、あまりにお人好しだ。メディアが「ミス」と報じて、喜んでいるのは大津市だろう。

■「不都合な真実」を隠そうとした大津市

明らかになったメディアの問題は大きく2つある。1つは、このニュースの核心はどこにあるのかが捉えきれていないことだ。大津市は、市民センター統廃合問題の協議の内容を、市民には知らせたくなかった。その内容には越直美市長の発言も数多く含まれている。7つの支所の統合したい、高齢者の問題は民間に委託したい、防災機能は地元住民に任せたい、など。そして、市民には具体案を示さずに計画を押し進めるというやり方も残されている。

つまり、これらの「不都合な真実」が図らずも明らかになってしまったことが、大津市にとっての最大の痛手であり、市民との意見交換会が進む中、最悪のタイミングだったのではないか。メディアとしてそこを突かず、どうするのか。しかし、メディアが重きを置いたのはそこではなく、「ミス」の部分である。

「過去に全文公開の文書、市議請求に一部黒塗り 大津市ミス認める」京都新聞、2018年10月23日

情報公開請求、共産党だけ黒塗りで渡す 大津市「ミス」 朝日新聞、2018年10月22日

■本当に過去の経緯を調査せず?

メディアの問題の2つ目は、「ミス」と報じておきながら、検証を行っていないことだ。ウオッチドッグの取材では、大津市は、以前は公開したことを知っていながら、今回は黒塗りにした。
そもそも「ミス」は、意に反して何かを間違ってしまった際に用いる言葉だ。では、大津市の行ったどの部分が「ミス」だと言っているのだろうか。林まり市議(共産党)から情報公開請求を受けた文書は、以前は公開した。それを確認していなかった。このことが「確認ミス」だったと、大津市は説明している。メディアはそのまま「ミス」と報じた。

では、本当に「確認ミス」だったのだろうか。それを検証するのがメディアの役割のはずではないか。

当該文書(庁内の会議の議事録)が作成されたのは、2014年10月、12月だが、過去に3回(そのうち2回は2015年6月と、2017年2月)も情報公開請求を受け、その都度公開されている。決定されるので、担当者1人の判断で決定されるものではなく、必ず庁内の稟議を経る。決裁文書には、決裁者の印が並ぶ。

京都新聞の取材に対し、担当の自治協働課は「黒塗りの判断自体は情報公開条例に照らして適切だった」と述べている。ウオッチドッグの取材に対しても、「条例(の不開示条項)に該当すると判断したのは、間違いではない」と答えている。条例に該当するかどうかの判断が正しいかどうかは別にして、この文書について時間をかけて関係者が検討していたことは十分にうかがえる。

それにも関わらず、大津市はこう説明していることになる。

関係者全員が過去3回について忘れるという「ミス」をした。そのため、今回だけは、相当な時間をかけて、どの部分を公開し、どの部分は非公開とするのか、入念な検討を行ってしまった。しかし、実は今回の判断の方が正しく、以前、公開したという判断は間違っていた。

 こんな大津市の説明を、なるほどごもっともです、とメディアはそのまま報じた。行政の説明を検証してみようとする、記者の意欲、取材力が問われている。