2020年1月20日付で大津市長選の結果を新聞各社が報じた。その中で特に気になったのが京都新聞の報道だった。当選直後から、地元紙が新市長の政治とカネの問題に言及せず、「市民主役に」などと報じ、早くも「ポチ」化している。

京都新聞は2019年12月5日付で、滋賀県議の佐藤健司氏の「迂回献金か」という政治とカネの問題の報道をした。しかし、佐藤氏が大津市長に当選した翌日、京都新聞は大きく2面を割きながら、この問題については、ひと言も触れていない。「迂回献金」疑惑は未だに晴れたわけではない。これに対して、同じように「迂回献金か」という報道をした朝日新聞は、「昨年12月に報道された『迂回献金』問題の影響から公明党が自主投票に」との一文を入れている。

↓2020年1月20日/京都新聞(特大記事2面)

↓2020年1月20日付/朝日新聞

↓2019年12月5日付/京都新聞

京都新聞の記事の中で、「迂回献金か」という疑惑を指摘された佐藤氏は、「法的に問題ない」と話していたという。が、これは本人の言い分に過ぎない。政治資金規正法に詳しい専門家が「個々の政治家と企業が直接結びつくことで賄賂性が高まる」と警笛を鳴らしていた。そうであれば、34万人の市民が暮らす大津市の市長になろうという人物に対し、市民に説明責任を果たすよう求めるのが、メディアとしての役目だったのではないか。読者よりも先に報じた側が、「迂回献金」疑惑を忘れてしまった形だ。

もうひとつウオッチドッグ記者が気になったのは、京都新聞が1面の記事で使用したカラー写真だった。「支持者から花束を受け取り涙ぐむ佐藤氏」との写真説明文がついていたが、花束は、大津市議会の新和会(幹事長)八田けんじ市議の「後援会」からのものだった。そのうえ、佐藤氏がその花束と一緒に手にしている、額入りの写真は、湖誠会(自民党)の初代幹事長で、大津市体育協会元会長の北林肇氏(故人)の遺影だった。つまるところ、佐藤氏の選挙運動は、自民党丸抱えの組織戦だったのではないか。京都新聞は、この写真を使いながら、もうひとつの記事では、佐藤氏の言葉として「市民主役に」が大見出しとなっていた。京都新聞はなぜ、この写真を使ったのだろう?
※親和会は、2019年に、大津市議会の湖誠会(自民党)から分派した会派。八田けんじ氏は、北林肇元市議の地盤を引き継いだ。

自民党に籍を置きながら、無所属の形で出馬するのは、市民を欺くようなものだ。ごまかし「迂回献金」の仕組みと同じだ。大津市議選でも、こうしたやり方をする市議が多くいるが、「自民党」なら、「自民党」を堂々と名乗り、無党派層の判断を仰ぐべきだろう。選挙期間中は、無党派層向けに「市民主役に」を大アピールしながら、当選した後に、隠していた「自民党」やら、「自治連」やらがぞろりと顔を出す。佐藤氏は当選直後に「市民主役に」と、耳障りのよい言葉を述べたものの、選挙活動の主役は、自民党系議員と自治連だった。佐藤市政の行方は、目片信元市長と北林肇元市議(後援会長は、前滋賀学区自治連会長)の時代のような、市長と市議会、そして自治連、という3者慣れ合い体質の時代に戻ると予測した方が自然だ。京都新聞の写真が図らずも、そのことを物語っている。