電子版「産経ニュース」が2018年2月8日付で、沖縄市長選に関して、東京新聞の望月衣塑子記者の質問への批判と菅義偉官房長官の発言を擁護する記事をまたもや掲載した。その一方で、普天間基地所属の米軍車両が絡む事故を巡って、事実に基づかない報道をしたとして、謝罪し、記事を取り消した。

産経ニュースの官邸担当者が、菅官房長官に質問している東京新聞の望月衣塑子記者に対して、繰り返し批判的な報道を続けている。意見の異なる1人の記者の質問を封じようとする「いじめ」のような異常な事態となっている。

↓2018年2月8日産経ニュース/菅義偉官房長官「選挙は結果がすべて」結果を疑問視する東京新聞・望月衣塑子記者に反論
http://www.sankei.com/politics/news/180208/plt1802080019-n1.html

その一方、産経新聞の那覇支局は、2017年12月12日付報道(電子版は12月9日付)で、米海兵隊員が、事故にあった日本人を救出して、自身も事故にあったことを「勇敢な行動」と称え、沖縄タイムズと琉球新報が同様の報道をしなかったことに、「報道機関と名乗る資格はない。日本人として恥だ」と批判していた。沖縄両紙が、沖縄県警や関係者に取材したところ、産経新聞の報道が、事実を基に裏付けをとったものではなかったことが明らかになった。産経新聞は当該記事を削除するとともに、沖縄の新聞社や読者に謝罪する結果となった。

沖縄のメディアを「報道機関と名乗る資格はない」と書いた産経新聞の那覇支局長に対して、福岡を拠点に地道な調査報道の記事を配信している「ハンター」の記者が、取材を試みている。2018年1月31日付で産経新聞の那覇支局長とのやりとりを掲載した。「ハンター」によると「政権と厳しく対峙する他社の誤報に大騒ぎする産経新聞が、裏付けが不十分な記事で沖縄メディアを攻撃。反撃されて、うろたえるという失態を演じている。産経の記事が「虚報」だった可能性が生じたため、記事を書いた同紙那覇支局長に事実確認を求めたところ、報道機関の記者とは思えぬ対応で、逆に疑惑を深める結果となった」と掲載していた。

↓2018年1月31日付のニュースサイト「ハンター」/「産経新聞 沖縄メディア攻撃で虚報の可能性 那覇支局長との一問一答」
http://hunter-investigate.jp/news/2018/01/post-1152.html

2018年2月8日付の産経ニュースは、事実に基づかない稚拙な報道に対して、「沖縄米兵の救出報道 おわびと削除」と題して、謝罪文を掲載。「こうした事態を真摯(しんし)に受け止め、再発防止のため記者教育をさらに徹底するとともに、出稿体制を見直し、記事の信頼性向上に努めていく所存です」と締めくくっている。今回も、産経新聞の大失態が露呈し、記者教育に言及する始末となっている。

↓2018年2月8日付産経ニュース/「沖縄米兵の救出報道 おわびと削除」
http://www.sankei.com/affairs/news/180208/afr1802080005-n1.html