朝日新聞は、大津市議会が新型コロナウイルスを教訓に業務継続計画(BCP)の感染症対策を充実させると、5月20日に報じた。市議会の取り組みをプラス評価する内容になっている。しかし、少なくとも2月〜4月の市議会の対応を調べてみれば、プラスの評価には疑問符が付く。
元々作られていた市議会のBCPでは、大津市の対策本部が設置されたら、議会の方でも別途、対策会議を設置するという流れになっていた。市は1月31日に新型コロナウイルス感染症危機対策本部を設置した。しかし、当時の議長、近藤眞弘市議(湖誠会)は、市議会の災害対策会議を5月11日まで設置しなかった。制度は設けていたのに、国の緊急事態宣言が発令されているのに、市議会は何をしていたのか。まるっきり機能しなかったと言ってよい。動かそうとして動かせなかったのではなく、市議会自ら、全く動いた形跡がない。対策会議ぐらい設置できたはずだ。それなのに、動きゼロ。「教訓」やら「充実」やらの前に、まず「反省」だろう。
メディアに求められるのは、なぜ市議会のBCPが機能しなかったのか、検証することです。取材すれば簡単に分かることです。こうした事実を視野に入れず、市議会がさも5月に入って仕事をしているような報道になってしまった。市議会を少しでも監視しようとする姿勢が感じられません。結果的には、市議会を無批判に応援してしまっています。よって、誤報と言えないまでも、「ポチ度」は★★★(3つ/最大5つ)です。
朝日新聞の記事では、これまでのBCPは、「大規模地震を想定した内容」と書き、だからこそ、これから「感染症対策を充実」させたBCPを策定するとした、市議会の主張にそのまま沿った内容となっています。
これはもともと用意されたBCPの曲解です。なぜなら、元々あるBCPには、新型の感染症も想定として含まれているからです。新型コロナ感染症の対応で、動かなかった市議会の逃げ口上でしかないのに、そのまま掲載していますね。
2020年5月18日までの議長で、災害対策会議の委員長だった近藤眞弘市議(湖誠会)に取材して、なぜ、2月から4月の間に、災害対策会議を設置しなかったのか、取材しないとダメでしょう。
BCP(第2版)によると、全市議らに配付されているタブレット端末を活用して、テレビ(音声)通話で災害対策会議が開催できることになっています。その災害対策会議の中で、本会議や委員会についての協議もできたでしょう。情報収集し、市議会がどう動くかの対応も決めることができたんですよ。にもかかわらず、市議会は何ら計画通り動こうとしませんでした。
朝日新聞の記者は、BCPを読んでから、記事を書きましょう。
↓2020年5月20日付・朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASN5M6R5HN5MPTJB00F.html
5月18日に就任した新議長の八田憲児市議(新和会)が、オンラインでの本会議開催を盛り込んだ「暫定版BCP」について言及し、動いています。
ウオッチドッグでは、3月9日付報道のウオッチキャット№35で、危機対策のために、オンライン議会を開催する仕組みを考えたほうがいいんじゃないのかと、問題提起していました。感染拡大の兆候がみられたその時に、何にも動いていなかった市議らと議会事務局が、今さら「新たな取り組み」をPRですか。
まずは、2月市議会で、こうした動きが出なかったことについての背景を、朝日新聞の記者には、聞いてほしかったですね。
2020年3月当時の議長は、近藤眞弘市議(湖誠会)で、副議長は、川口正徳市議(湖誠会)、議会運営委員会の委員長は、竹内照夫市議(湖誠会)。当時は、湖誠会市議らが、市議会で主な役を占めていたのですから、新和会の新議長だけでなく、動かなかった湖誠会の市議らにも取材し、これまでの動きを踏まえて、今後の取り組みについて書かないと。
市議や議会事務局のPRだけを書いている記事なので、こうして、ウオッチドッグが「ポチ記事」として取り上げることになりました。
傍聴とりやめ/スカスカなのに/大津市議会/ウオッチキャット№35
↓ウオッチキャット№35の記事中から、「オンライン議会」に触れた部分を抜き出しました。