マスク増産の補助事業を実施した経済産業省だが、2月からこれまでの増産結果はどうだったのか。ウオッチドッグでは、ウオッチ霞が関№1で、その背景を報道した。製造ライン数がどれほど増えたのか、4月14日に、経産省の担当職員へ質問したが、担当者は回答を拒んだ。やんわり詰め寄ると、「検討してから」ということで、回答を待つことになった。連絡がなかったので16日にもう一度、電話した。経産省職員(女性)とのやりとりを掲載する。

経済産業省の官僚の勧めで、安倍晋三首相が打ち上げた「布マスク(アベノマスク)」466億円の配布が始まった。4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の資料によると、「アベノマスク」は、内閣府でも、経産省でもなく、厚労省の予算となっていた。

2月と3月は、全国のドラッグストアやスーパーから、使い捨てマスクが消えた。マスクが入手できず、国民みんなが困っている時期だった。

経産省は、2019年度の予備費から、「マスク生産設備導入補助事業」を4.5億円、マスクとアルコール消毒液をふたつを一緒にした生産設備導入補助事業に、1.6億円の予算を計上した。2020年度は、ふたつをひとつにして、29.1億円の予算だった。マスクとアルコール消毒液の生産設備増産事業の2カ年合計は35.2億円だった。経産省全体の予算からすると微々たるものだ。主な疑問点を整理すると、次のようになる。

Q:2019年度に4.5億円の予備費を使い、1本3,000万円上限で、いくつの製造ラインが完成したのか?

Q:2019年度の予備費を使い、4.5億円、1.6億円をマスクやアルコール消毒液の増産設備の補助金に使っているが、金額が少ないのでは? 経産省の予備費がなかったのか?

Q:2019年度の予備費から追加として、1.6億円を計上しているが、なぜ、マスクとアルコール消毒液の生産設備導入が一緒なのか? なぜ、単体事業として、予算要求しなかったのか?

Q:2020年度も2つの事業が一緒になっているのはなぜか? 金額の内訳は、どうなっているのか?

経産省のホームページのどこにも、これらの疑問に答える資料は、見当たらなかった。

↓2020年4月14日のやりとり

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経済産業省は、令和元年度の予備費から「マスク生産設備導入補助事業」4.5億円を計上していますけど、何本の製造ラインが出来たのですか? 採択されたのは13社ですよね? 13本ですか?
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公表されていることしか、お答えできません。
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経産省が、製造ラインで上限3,000万円で募集していたじゃないですか? 1本3,000万円ですか?
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ひとつの製造ライン、上限3,000万円です。
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全部でいくつ製造ラインが完成したのですか?
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企業秘密にあたりますので、お答えできません。
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どこの企業がいくつの製造ラインを作ったのかを聞いているのではなく、この補助事業を使い、全部で何本の製造ラインが出来たのか、総数を聞いているわけですよ。何本ですか?
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経産省としては、製造ラインの数ではなく、枚数で公表しています。
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しかし、経産省は、製造ラインで募集をかけていたじゃないですか? それを答えられないなんて、あり得ないないでしょう。
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何のためにそういうことを聞かれるのですか?
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知る権利です。国民に必要なことを知らせるのは、公務員の役目じゃないですか? 国家公務員でしょう。
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検討させていただきます。
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検討と言いますけど、いつまで待てばよいのですか? 明確にしてください。
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上司に聞いてからお電話させていただきます。

この電話の後、何の連絡もなかったので、4月16日に再び、電話した。

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先日の電話で、上司に聞いてから、検討しますとおっしゃってましてけど、どうなったのでしょうか?
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製造ラインのことは、企業秘密で守秘義務もありますから…。
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だから、個別のことを聞いているのではなくて、総数のことですよ。税金を使った事業じゃないですか。どれぐらいの製造ラインが出来たのか、それを教えてくださいと言っているんですよ。税金を使ってやった事業ですよね?
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そう思います。
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思うのではなくて、そうなんです。税金を使った事業なのですから、その結果をきちんと教えてください。経産省の課長や部長らのお金を使った事業ではあるまいし。
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適当なことをお伝えできませんので、ただ今、各企業に、製造ラインの数を確認をしている状況です。
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へぇ、そうですか。それで、確認に時間がかかっているということですね。マスク不足が深刻な中、経産省は、3月に4.5億円を使って、マスク製造ラインの増産設備のために補助金を出していたわけでしょう。その結果、どれぐらいの製造ラインが出来ていたのか、わかっていなかったということですか?
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いえ。把握はしています。念のため、正確な数を、企業側に確認しているところです。
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今、経産省で把握している総数を教えてくださればよいのではと思いますけどね。それでは、わかったら連絡してください。それと、2019年度の予備費1.6億円と令和2年度の予算29.1億円は、なぜ、マスクと消毒液を一緒にしたのですか? それぞれ需要の高いものだと思いますが…。
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なぜ、一緒にしたのかはわかりません。2つ一緒に予算要求した形です。
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マスクと消毒液2つの内訳はどうなっているのですか?
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それもはっきりしていません。
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29.1億円のうち、マスクがいくらまで、消毒液がいくらまでという区分けはしていないということですね
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そうです。
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2019年度の4.5億円ですが、全国でマスクが不足している中、この金額では少なかったと思いますが…。経産省の予備費が足りなかったのでしょうか?
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予備費の金額まで、わかりません。
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どうして、あの金額なのか。経産省のやっていることは、訳がわからないですねぇ。
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【まだゼロ回答のまま】
13社に製造ライン数を確認するだけで、長い時間がかかっている。経産省は、毎年、デジタルプラットフォーム構築事業などに多額の予算をつぎ込んでいるが、「デジタルサービス開発により、官民双方の業務負担の軽減」が出来ていないということかもしれない。補助事業の結果すら、すぐにはわからないらしい。いつ、経産省から返答がくるのか。その結果を、また、お伝えしましょう。

参照資料:2020年4月7日・閣議決定「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」