大津市の不透明な事業のひとつ「琵琶湖市民清掃」について、解説します。
琵琶湖市民清掃は、1972年に始まった事業。「琵琶湖を美しくする運動実践本部」という任意団体が主催となっている市民運動だと大津市は主張していますが、その運営組織や団体役員名、会計など、ウオッチドッグ記者が調査するまで、何ひとつ明らかにしていませんでした。市民運動なのに、市民が知らない事業、それが琵琶湖市民清掃です。
中心となっている団体は、大津市自治連合会などで、本部長は大津市自治連合会長。会計は滋賀県建設業協会大津支部。事務局は大津市環境政策課。大津市が全面的に協力しているにもかかわらず、実績報告書を情報公開請求をすると、様式だけの白紙のまま出したこともありました。極めて「不透明」な事業でした。
「琵琶湖市民清掃のお知らせです」
「住民の皆さんの力で街をきれいにしましょう」
6月になると、琵琶湖市民清掃のお知らせが、自治会から回覧などで回ってきます。6月か7月の年1回行われていました。当日は、自治会の各班で点呼し、参加者をチェックします。不参加だと罰金を支払わなければならない自治会もあり、過去から、新聞報道などで問題視されてきました。参加者は、班長からごみ袋を受け取り、自宅周辺の道路や、公園のごみ拾いをします。
自治会で行う地域清掃と何ら変わりがないのに、この日だけは、大津市と自治連合会がやたらと「琵琶湖」を強調します。真夏日なので、清掃は朝の早い時間に行われ、30分から1時間で終了します。参加者は、その後、自宅へ戻ります。集めたごみは、数か所にまとめられ、大津市が収集・運搬すると思っていました。
しかし、実際は、自治連合会が謝礼金を支払い、無許可業者や許可業者に依頼していました。当日、大津市のパッカー車は、1台も稼働していませんでした。さらに、運搬を請け負った許可業者は、市へごみ処分のマニュフェストを提出していませんでした。一部の学区では、業者へ謝礼金を商品券で支払ったとする百貨店の領収書もありました。自治連合会長の名前だけを書いた「支払い証明書」で業者へ支払いをしたとする学区も複数ありました。運搬に協力した業者には、市の入札に有利となる「協力証明書」を、任意団体の大津市自治連合会長が本部長名で発行していました。
さらに、呆れたことに、清掃の補助金で、一部の自治連合会が、飲食やビール代、自分宛の謝礼金など、不適切な使途をしていたことが次々と発覚しました。
↓2013年度の琵琶湖市民清掃のカネの流れ/2014年度作成
それだけでなく、おかしな点は、清掃当日に回収したごみをそれぞれの処分場まで搬入せず、処分場手前の仮置き場に荷下ろしさせていたことです。翌日以降に、市から随意契約をした業者が、車でたった5分の距離の処分場まで、業務を請け負い、運搬していました。
ウォッチドッグ記者は、2015年7月、仮置き場の取材を敢行。写真を撮りまくりました。清掃ごみの搬入先は、大津市の処分場ではありませんでした。
市民向けの実施要綱には、「草木ごみは、袋に入れて下さい」と書きながら、実際は「無袋草木」の看板を立て、無袋の草木をその場で積み下ろしていました。やたらと、無袋草木を積み込んだ車両の搬入が多かったです。さらに、「泥は、市では回収できないので、できるだけ地域で処理して下さい」と要綱に書きながら、実際は、仮置き場へ泥を積みこんだ業者らが、土嚢袋を下していました。
本当に、市民が集めたごみだけを処分しているのでしょうか?
現場を見て、膨大な資料を入手し精査したウォッチドッグ記者は、市民が集めた清掃ごみだけではないものが一緒に処分されていると確信しています。大津市職員は、「市民が集めたごみではないものが一緒に混じっていても、わからない」と答えていました。琵琶湖市民清掃の当日は、ごみ処分費用がかかりません。タダで処分できます。
詳細を知りたい方は、大津WEB新報で、126本の記事を出していますので、こちらをご参照ください。証拠資料を添付して、全て解説しています。
http://otsu-shinpou.info/web/?cat=21
ウォッチドッグでは、琵琶湖市民清掃の設立背景にスポットをあて、シリーズで展開する予定です。