大津市と琵琶湖を美しくする運動実践本部は6月30日の琵琶湖市民清掃を雨天決行したが、北部では、ごみ搬入の記録に「土砂」の項目を記載していないことが情報公開請求の資料でわかった。文書上の不備と言えるが、担当職員は「だいたい土砂だと検討がつくので問題ない」としている。しかし、本当に「土砂」なのか、また「土砂」だけだったのかを証明する記録は残されていない。
「可燃」、「不燃」というごみ種類の搬入記録はあったが、「土砂」という記録は見当たらなかった。入手した2024年度の琵琶湖市民清掃の搬入記録の資料の中に、ごみの種類が何も書かれていない文書が3枚あった。大津市廃棄物減量推進課に電話で確認したところ、この3枚は、北部最終処分場へ搬入された「土砂」の記録だという。文書に書かれていないが、担当職員が「土砂」だと推測するごみ量は14トンになる。
担当の市職員は「だいたい土砂かなと検討がつくので問題ない」と話しているが、、すべて「土砂」ならば、文書に記載すればよいだけだ。担当の職員が当日、搬入現場で立ち会って確認したわけではない。写真なども残されていない。
「市が、たぶんこれだろうなんて、いい加減な記録の公文書でよいのか?」というウオッチドッグ記者の質問には、市職員は「何も問題ない」と開き直った回答をしている。
これが北部地区の土砂の記録。南部地区と違い、収集した学区名は書かれていますが、ごみの種類はどこにも記載がないです。搬入先もわからないです。北部地区で収集運搬したのは、大津衛生社と志賀衛生社。大津衛生社は計約13トンを車両9台で、一方の志賀衛生社は計約1トンを車両3台で、それぞれ収集運搬していました。
たった130㎏の土砂(泥)を収集運搬するのに、志賀衛生社では丸ごと1台を使っていますね。米袋に換算すると、30㎏の袋が約4袋ぐらいの量でしょうか。平日に、自治会から、大津市道路・河川管理課へ連絡したら対応してくれますけど。
上記の手書きのデータを入力したのが下記の計量記録日報です。合計重量が記載されていません。
下記のデータ6月30日の搬入日報ですが、ごみ種類が書いていないので、最初に見たときは何のデータかわかりませんでした。市所管課(廃棄物減量推進課、北部クリーンセンター、北部最終処分場)へそれぞれ確認して、ようやく「土砂」であることがわかりました。
下記は、2016年7月8日付・大津WEB新報の記事。この時も、大津市の杜撰なチェック体制について問題提起しました。それでも変わらず。
↓参照:ウオッチドックの前身「大津WEB新報」の過去記事
↓不正対策を行わず/監査人の指摘を放置/過去にごみ偽装事件/市民清掃No.102(2016年7月8日付) https://otsu-shinpou.info/web/?p=8842
大津市はごみの収集・運搬の過程で、偽装されたごみが紛れ込むなどの不正を防止する必要性を外部監査で指摘されていながら、琵琶湖市民清掃では昨年度まで具体的な対策をとっていなかったことが明らかになった。大津市は、過去のごみ偽装事件を背景にした外部監査の求めに応じず、問題を放置し続けていることになる。
大津市では1995年から2002年まで、2業者が事業系ごみを家庭ごみと偽って搬入していた事件が発生。2014年の包括外部監査の中で外部監査人は、「こうした偽りの搬入は、常に発生する可能性があり、不正が行われていないことを確認することが重要である」と述べ、集積ルートの管理などの具体策を提示していた。
外部監査人は、ごみの不正搬入を防ぐ手段の1つとして、「集積ルートの仕様書の構築」、「展開調査を増やす」、「展開調査で疑わしい事項を結果報告書に記載」などを提案している。しかし、監査結果が出された後の2015年の琵琶湖市民清掃では、外部監査人が提案した意見を、大津市が参考にした形跡は、見当たらない。(2016年については、関連の資料が開示されていないため、現段階では不明)
【解説】
ごみ不正搬入は、美化活動でも起こりうる。家庭ごみと同じで、美化活動のごみも処理手数料は減免になるが、事業者が排出するごみは有料である。そのため、こうした機会に便乗投棄をする事業者が出る恐れがある。
だからこそ、行政機関による厳しいチェック態勢が求められる。しかし、昨年の琵琶湖市民清掃の仮置き場の搬入状況を現場で確認すると、便乗投棄ではないかと思われる実態が数多く見られた。例えば、市民の手で短時間に作業できるはずもない、大型の木枝が運び込まれていた。大津市が外部監査人の指摘を真摯に受け止めたとは言えない。
関係資料も杜撰なものだった。「排出状況の写真添付なし」、「搬入車両の車番の確認なし」、「集積ルートを記載しない学区あり」、「整理券の配布数の不均衡」など、問題が多すぎる。大津市の杜撰なチェックが、ごみの便乗投棄を誘発した恐れさえある。