大津市と任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部(本部長は、大津市自治連合会長)」が協力して開催している今年の琵琶湖市民清掃は、6月30日(日)にどしゃぶりの大雨の中、決行された。大雨の中、琵琶湖市民清掃が実施されたことについて、大津市や滋賀県へ大津市民から多数の苦情が届いていた。

ウオッチドッグは、大津市民から批判の声が出ているのをネット情報などで知り、所管課の環境政策課の職員へ、寄せられた苦情の実態について問い合わせた。当初、電話応対した環境政策課の職員は「苦情は出ていない」と説明していた。しかし、情報公開請求で苦情に関する公文書を入手したところ、多数の市民から苦情の声が届いていたことがわかった。その中には、自治会長から、雨天実施に対する疑問や不満の声も含まれている。

苦情の宛て先として、市宛てのメール、支所からの報告、市の電子申請サービス、滋賀県知事への手紙、県民の声などであった。

自治会長を含む市民からどんな苦情の声が出ていたのか、入手した記録の資料を元に、その一部を紹介する。

※記録からの抽出のため、投稿者の性別は不明。下記の「声のイラスト画像」はイメージです。

大津市民

今回雨天なのに実施しなくて良かったのでは?
再々延期がないから無理矢理実施したように見受けられるが、再度延期するとか土曜日にやるとか方法は無かったのか?
無理のない程度でやってくれと書いているが、人それぞれ捉え方が違うのでやらない人もいたり、傘をさしてやってくれる方両方います。

大津市民

降水確率80% 降水量が予想される中で実施される判断材料は、何でしょう? 前回早い中止判断と、今回の実施判断の違いを教えて下さい。出ておられない方もたくさんいらっしゃった様に思いましたが。

↓下記は、ある自治会長から上がってきた質問のメールで、学区自治連合会長、支所長を経由して、市環境政策課(実践本部事務局)へ届いたもの。

自治会長

本日(6月30日)の様な雨天時に実施を行う目的や意義は何でしょうか? 特に、雨に打たれ、且つ路面が滑りやすい状況で、けがやまた体調を崩す恐れも想定される状況下での実施には疑問の声が多いです。

自治会長

実施要綱には「市民清掃は参加を強制する行事ではありません。清掃活動の参加についての判断は、各団体様、個人様で判断ください」と記載がありますが、各団体が中止を判断した場合は、「やむ得ない理由による中止の場合でも、琵琶湖を美しくする運動実践本部活動助成金の全額返還対象となる」と記載があり、自治連合会は既にごみ袋や飲料品を手配購入済みであり、助成金の返還は不可能で、実質的に自治連合会独自で、中止の判断は不可能と考えますが、どのようにお考えでしょうか?

自治会長

今回多くの方から「この雨天時になぜ実施するのか?」というご意見をいただいたことからもわかりますように、私を含め多くの皆様(個人)は、実践本部が実施を決定した場合、市民清掃は参加しなければいけない行事であると認識していると思います。

自治会長

現状多くの皆さんは、「個人の判断を優先して参加、不参加を決めたらよい」と理解、認識しているとお考えでしょうか?
参加、不参加は個人の判断という事の情報発信や周知徹底の取組は、どのようにされているのでしょうか?
また、今後どのように情報発信や周知徹底の取組をされるのでしょうか?

ウオッチドッグ記者

≪ウオッチドッグ記者の解説≫

市民だけでなく、自治会長からも苦情と質問が出ていました。大津市の自治会組織は他市町とは異質なため、ウオッチドッグ記者が解説します。

大津市の自治会組織の上部組織に「学区自治連合会」があり、そのまた上部組織として、「大津市自治連合会」という任意団体が存在します。

大津市自治連合会が主体となって開催する琵琶湖市民清掃などの行事のときは、学区自治連合会を通じて各自治会へ、既に決定した行事開催に関する連絡がきます。後は各自治会へ丸投げ。大津市の自治会は、大津市と自治連合会の実績作りための下請け組織だと位置づけられます。

琵琶湖市民清掃では、市から実践本部(市自治連主体)へ補助金が出ており、実践本部から各学区自治連合会へ助成金、学区自治連合会から各自治会へ助成金の分配があり、各自治会はその助成金でごみ袋などを事前購入しています。雨天中止とした場合は、「助成金の全額を返還せよ」と実践本部の要綱で決まっていること、既に備品などを購入しているため返還できないことを、自治会長は訴えています。

また、「個人の判断を優先して清掃に参加してください」と実施要綱に書かれているが、住民はそんなことは知らないこと、「実践本部が決めた市民清掃の行事には参加しなければならない」と誰もが思っている現状を訴えています。

「個人の判断」とするなら、その部分をしっかり住民に周知するために、実践本部が必要十分な情報発信をするのか、今後の取組みについての回答を求めています。

「市民からの苦情の声」 続きは次回に・・・。