今回、紹介する本は、元北海道新聞 報道本部次長の高田昌幸氏の著作で、2014年4月に発刊された「真実 新聞が警察に跪(ひざまず)いた日」(角川文庫)です。(単行本は2012年、柏書房)

2003年11月から2005年6月にかけての約1年半、北海道警察の裏金を追及した北海道新聞社がその後、逆に道警に跪くまでの出来事を、当時デスクとして裏金追及の陣頭指揮をとった高田氏が、赤裸々に描いています。

道警は組織全体で長年、裏金をつくってきたのではないか。それをひた隠しにしてきたのではないか。

真実 新聞が警察に跪いた日 /角川文庫

それが報道の始まり、主眼だったということでした。

北海道警察は年間で億を超えるこうした予算を正当に使用せず、裏金として組織内部にプールし、幹部の独断で自在に使っていた。捜査用報酬費や捜査費を支出するためには、情報提供者や飲食店の領収書が必要になる。その領収書は末端の警察官たちに偽造させ、幹部が使途を決めるというしくみだった。公金のマネーロンダリングと言ったほうがわかりやすいかもしれない。議会が決めた予算用途の縛りを勝手に外すのだから、要は議会民主主義の無視でもあった。
 北海道新聞による追及は約1年半、止むことがなかった。その間に掲載した関連記事は、大小合わせて約1400本を数える。
組織的な裏金づくりの動かぬ証拠である「裏帳簿」、正義感の強い人を会計担当から排除せよと指示した「裏金指南書」、そんな内部書類の存在を次々と明るみに出す一方、偽造領収書を末端警察官に作成させるしくみなど、裏金づくりの詳細な手口まで暴き出した。
(中略)
やがて、実名で裏金の存在を認めるOBまで現れた。
(中略)
そうした追及の末、道警は2004年11月、とうとう組織的な裏金づくりを認め、組織のトップである本部長が北海道議会で謝罪した。裏金の返還総額は国費・道費合わせて9億円を超える。それを幹部らの負担で全額返済することも決まった。

真実 新聞が警察に跪いた日 /角川文庫

ウオッチドッグ記者は、この部分を読んで、こうした裏金づくりのやり方は、ありとあらゆる腐れ組織や団体のどこもやっていると思いました。雲の上の話に思えませんでした。想像がつくやり方でした。ただ、「裏金づくり」という公金詐欺を、不正を取り締まる警察が組織的にやっていたという衝撃はありました。

警察の裏金づくりといってもピンと来ない読者に、わかりやすく解説してみます。

これまで、ウオッチドッグ記者は、長い年数をかけて、大津市の琵琶湖市民清掃の補助金を調べていましたが、「偽造では?」と思う自治連合会のおかしな領収書をたっぷり目にしたことがあります。例えば、わかりやすい例を出してみると…。

上の領収書は、2015年の琵琶湖市民清掃で、ある自治会が大津市へ提出した領収書です。補助金の実績報告書に添付されていたものでした。

酒店の名前が印字されている領収書でした。(※黒塗り部分は、店名と自治会が特定されないよう、ウオッチドッグ記者が、あえて黒塗りにしました)
当初、左側の領収書を市へ提出していたようですが、領収書は白紙でした。

その白紙の領収書をチェックした当時の市担当者は、「原本記載文字が薄く、コピーに写っていなかったため、別途写しを請求した⇒次ページに添付)と、枠外に記入してました。

「記載文字が薄く?」
「どこからどう見ても、空白の領収書だろう」と憤慨しました。

つまり、常日ごろ、懇意にしている酒屋から、自治会または、自治連の誰かが、酒店の名前を印字している空白の領収書の束を受け取り、それに、好き放題の金額を書き、公金をむしりとっている詐欺をしていた可能性があったということです。自治会役員が、ついうっかり、金額を書き忘れて、白紙のまま、実績報告書に添付し、市へ提出してしまったという大チョンボをして、ウオッチドッグ記者が知ることになったという顛末でしょう。

道警がやっていた飲食店の領収書の偽造も、こういうことだろうと理解しました。

この本は、裏金づくりの実態を暴き出し、道民から拍手喝采をうけた北海道新聞社が、その後、道警の反撃を受けてどうなったのかを綴っています。

「おすすめ本№4」の続きは、次回で。