厚労省は2020年4月6日、新型コロナウイルス感染症の軽症者の宿泊療養や自宅療養についてのQ&Aの「事務連絡」を、各都道府県などへ送った。しかし、表現は難解で、あいまいな基準ばかり。どのような内容なのか、「お役所言葉」を“翻訳”しながら、読み解いてみた。厚労省が2月18日に提示した「退院基準」の図も併せて掲載する。もし、感染した場合、病院に入院するのか、ホテルなどの施設での「宿泊療養」に回るのか、それとも自宅にとどまって「自宅療養」に入るのか。
【お役所言葉の翻訳(その1)】
・重症者が増えると、病院のベット数が足りなくなるので、軽症者には宿泊施設か自宅で療養してもらう。この体制への移行は、各都道府県が決める。
・軽症者が外出したら、感染を広げるかもしれないで、宿泊施設や自宅から外に出ないで療養してもらう。
【お役所言葉の翻訳(その2)】
軽症者のうち、重症化の恐れが高いのは、①高齢者、②基礎疾患がある人、③免疫抑制状態の人、④妊娠している人(下記)である。①〜④のどれかに該当する人は必ず入院させる。それ以外で、医師が「入院の必要がない」と判断した人は、宿泊施設か自宅での療養となる。
医師から保健所へ、該当の軽症者について、連絡する。
【注】滋賀県の担当者によると、この厚労省の文書に記載の「高齢者」の線引きが明確でなく、重症化するかどうかをポイントにし、診察した医師の判断に任せる部分が大きいという。グレーゾーンが最初から作られている。
【お役所言葉の翻訳(その3)】
~医師から連絡を受けた保健所の動き~
・軽症者の同居者に、①から④のいずれかの人が含まれていないかを確認する。
・①から④のいずれかの人と同居し、自宅での療養が難しい場合、優先して宿泊施設で療養できるように調整する。
・宿泊施設で療養する人は、都道府県が用意した宿泊施設へ移動してもらう。
・自宅療養になった場合は、公共交通以外の方法で帰宅してもらう。
【お役所言葉の翻訳(その4)】
◆軽症者の自宅療養
・同居の高齢者との生活空間を必ず分けること。
・トイレが共用の時は、使用する度に、消毒、換気をすること。
・お風呂は、軽症者を一番最後にして、入浴後に十分な清掃と換気をすること。
こうした対応が無理なときは、保健所に伝える。
【お役所言葉の翻訳(その5)】
軽症者は自宅療養が原則。ただし、軽症者と同居している人の状況や、宿泊施設の受入可能な人数、軽症者の意向などを聞いて、宿泊施設になることがある。
【お役所言葉の翻訳(その6)】
◆宿泊施設での療養
・都道府県が用意した宿泊施設で一定期間過ごす。
・外出できない。食事は、宿泊施設側が用意する。
・健康管理は、宿泊施設で行われる。(←誰がやるのか明記なし)
・症状に変化があった場合は、すぐに宿泊施設の職員(役人?)に連絡すること。
【お役所言葉の翻訳(その7)】
◆宿泊療養の場合
・感染の恐れがあるため、家族と面会できない。
・食事やホテルの滞在費はかからない。タオルなどの日用品代は必要。
・宿泊施設ごとに利用規定があるので、管理者(誰か不明?)に聞く。
【お役所言葉の翻訳(その8)】
◆自宅での療養の場合
・外出できない。
・保健所から1日1回、身体状況の聞き取りの連絡がある。(症状によって、保健所からの連絡が増える)
・症状が変化したら、保健所が教えてくれる「相談先」へ連絡をする。「相談先」が医療機関へ連絡してくれる。
・自宅療養の解除は、退院と同じで、2回連続でPCR結果が陰性になってから。
・ただし、地域の医療体制の状況によっては(PCR検査ができない?)、自宅療養から14日間経ってから、解除されることもある。詳細を保健所に確認する。
【お役所言葉の翻訳(その9)】
◆自宅療養の場合
・軽症者は、基本的に個室で過ごす。行動範囲は最小限として、同居家族での接触を最小限にする。
・身の回りのものは共用しない。
・外部からの不要不急な訪問者を受け入れない。
・トイレやお風呂は、軽症者が使う専用があったほうがよい。
・トイレとお風呂を軽症者と共用する場合、清掃と換気を十分にする。
・軽症者の入浴は最後にする。
・軽症者が触れるものは、1日1回以上、清掃する。
・不明なことがあれば、都道府県もしくは保健所から紹介された「相談先」に、問い合わせする。
↓2020年2月18日に厚労省が出した「新型コロナウイルス感染症における退院等基準」
退院の基準は、次の2種類。
◆症状がある人(症状あり かつ PCR検査陽性)
・24時間37.5℃の熱がなく、呼吸器症状も改善していたら、「軽快」となる。
・「軽快」となったら、48時間後に1回目のPCR検査を受ける。
・陰性の時は、12時間後に2回目のPCR検査を受ける。
・2回目で陰性になったら退院できる。
・1回目、2回目で陽性となったら、改めて48時間後に、1回目のPCR検査を実施する。
↓無症状病原体保有者の退院基準が変更になっていた。2020年4月2日に、厚労省が出した資料より。
◆無症状病原体保有者(症状なし かつ PCR検査陽性)
・軽快後、24時間後にPCR検査を実施。
・陰転化が確認されたら、前回の検体採取24時間後に、再び、採取を行う。
・2回連続で陰性が確認されたら退院可となる。