ウオッチドッグは、国会議員の手当「文書通信交通滞在費」に焦点を当てて調査している。今回の調査で重要視したのが過去の新聞各社の報道である。

2009年9月16日付の読売新聞の報道に「新議員8月分歳費、2日で230万円支給、総額11億円に/衆院事務局」という見出しの記事があった。2009年の衆院選の投開票日が8月30日だったため、在任期間がわずか2日(8月30日、31日)でも、1カ月分の歳費130万1,000円と文書通信交通滞在費100万円がそれぞれ丸ごと、合計約230万円(1日当たり115万円)が支給された。これに世論が反発した。

こうした国民の声を受け、歳費だけは歳費法を2010年に改正して日割り計算とし、自主返納出来るようようになった。しかし、文書通信交通滞在費は、任期が月の途中から始まっても、1カ月100万円の満額が支給されるまま現在に至っている。歳費と違い、非課税で、そして使途報告が不要なカネ(文書通信交通滞在費)を、在任期間が月に1日でも、満額受け取れる抜け道を残したことになる。

2020年6月19日付の読売新聞では「河合夫妻 国会長期欠席 現職なら報酬継続 歳費月100万円 ボーナスも」の見出しで、「コロナ禍で厳しい生活を余儀なくされる国民がいる中で、十分な政治活動ができているとはいえない夫妻が多額の歳費や手当を受け取っていることに有権者は納得しないだろう」という識者のコメントを掲載した記事があった。

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長期休暇といえば、甘利明衆院議員(自民党、新幹事長)も、口利きビジネスのような現金授受問題が2016年1月21日付・週刊文春で報道された後、2016年1月に閣僚を辞任して、2016年2月から5月までの4ヶ月間、「睡眠障害」と称し国会を欠席し、説明を放棄していた。甘利議員も文書通信交通滞在費の4カ月分、400万円を受け取っていたのかなあ。ちょっと聞いてみよう。

衆議院事務局へ電話して確認すると、「文書通信交通滞在費については、国会を欠席しても議員である以上は条文通り支給される」と話していた。

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とすると、大臣まで務めた人物が、説明責任を果たさなくても、国会を4カ月欠席しても、政治活動をしていなくても、何もしてなくても、文書通信交通滞在費として、満額の月額100万円×4カ月分=400万円がもらえるんですね。国会議員って気楽な稼業だねぇ。地方自治体では実費弁償が常識。

↓「大津市議会議員の議員報酬等に関する条例」から

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過去の報道を読み返すと、甘利議員が、「菓子折り+現金100万円」を大臣室と事務所で受けとったことを認めた。衝撃的な出来事と報じられたが、「菓子折り+現金」 の授受は、江戸時代から「ワイロ=贈賄」の典型パターンでしょう。こんな議員を自民党は、幹事長に据えるのですから話題を作りますねぇ。ネットニュースでも話題騒然。「菓子折り+現金」ですって。過去報道を読んでいても時代劇すぎて面白すぎた。
そこで、ウオッチドッグ記者は、甘利議員についての過去報道をピックアップして、過去に何があったのか時系列にまとめ、読者諸氏に紹介したいと思った。続きは、次回に。

↓Yahoo!配信/2021年9月30日付・日刊ゲンダイ