国会議員が公開義務のない手当として受け取っている月額100万円の文書通信交通滞在費は、過去からこれまで、「通信費」→「通信交通費」→「文書通信交通費」→「文書通信交通滞在費」と、支出できる対象を拡大させてきた。ところが、「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」という条文のみで、支出の妥当性を判断する詳細な規定がないことがわかった。
資料の郵送費や電話代などのほか、「交通」や「滞在」は何を指すのか。規定はあるのかを衆議院事務局へ問い合わせると「条文通りです。規定はないです。使途はわかりません」と答えた。
「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」は、1947年(昭和22年)4月28日に交付している。当時の条文によると、「第9条 各議員の議長、副議長及び議員は、公の書類を郵送し及び公の性質を有する通信をなすため、通信費として月額125円を受ける」と書かれている。※125円は当時の貨幣価値。
1947年の交付当初は、「通信費」として「公の書類を郵送し及び公の性質を有する通信をなすため」と、通信のための費用として規定していた。1966年(昭和41年)に「租税その他の公課を課することができない」と「非課税」の一文を加え、1993年(平成5年)に、「文書通信交通費」を「文書通信交通滞在費」に名称を変え、「75万円」を「100万円」へと、金額をアップして現在に至っている。「滞在費」は何を指すのか、過去の条文の変遷からは規定が抜け落ちているためわからない。
年度 | 名称の変遷 | 金額の変遷 |
1947年 | 通信費 | 125円 |
1966年 | 通信交通費・非課税に | 150,000円 |
1974年 | 文書通信交通費 | 350,000円 |
1978年 | 文書通信交通費 | 650,000円 |
1988年 | 文書通信交通費 | 750,000円 |
1993年 | 文書通信交通滞在費 | 1,000,000円 |
↓国立国会図書館より/1947年(昭和22年)交付
↓衆議院ホームページより/1966年(昭和41年)の改正
↓1974年(昭和49年)の改正
↓1978年(昭和53年)の改正
↓1988年(昭和63年)の改正
↓1993年(平成5年)の改正