鹿児島県警が、2024年4月8日にニュースサイト「ハンター」の家宅捜査をしたが、その発端となったのは、2021年9月に発生した新型コロナ療養施設での強制性交事件に関する報道だった。鹿児島県医師会は 2024年6月27日にこの事件で、「県警との隠蔽への結託が疑われており、否定したい」と会見を開いた。会見はYouTubeで公開された。

ところが、記者会見では、加害したとされる医師会の元男性職員が、2022年3月に中央署へ相談に行った経緯などの質問が出た途端、医師会の常任理事は「当事者でないので詳細はわかりません」とし、肝心な部分を全く把握していない実態がわかった。

県医師会の幹部は、被害女性への人格攻撃的な話や、私信のやりとりを詳細に暴露するなど、ゴシップ的な要素についての説明は滑らかだが、県警との癒着問題に関する肝心な部分については「当事者でないのでわかりません」と話した。県警との癒着を否定するための会見のはずが、否定できない会見となった。

2024年6月27日に開かれた県医師会の記者会見の模様がYouTubeで公開されている。開始から35分10秒頃に下記のような質疑応答があった。

読売新聞の  記者

県警との関係性ですが、「ハンター」の記事では、県警の元警察官である父親の関与があったのではないかと主張しています。医師会の元職員は、(被害女性の)雇用主男性を刑事告訴(名誉棄損)しましたが、所轄する西署でなく中央署で扱っていることから、中央署署長や元警察官の父親の力があったのではと。意見を聞かせてほしい。

常任理事

男性元職員は、西署に行ったことは1度もありません。なぜ、西署が管轄なのかわかりません。当初から、中央署に行ってます。(新型コロナの)宿泊療養施設があったホテルの住所が中央署の管轄だったから。男性の父親が警察官だからこそわかるんですね。確か、父親に連れられて行ったと思います。間違っていたらごめんなさい。ここの管轄は中央署だと。なんでそこに行ったのか。(被害女性の)雇用主から、「刑事告訴するぞ」と言われたために、告訴されるまたは告訴されたと思い、中央署に行ったと聞いています。

集英社オンラインの記者

「(被害女性の雇用主から)刑事告訴するぞ」と言われて、父親と一緒に中央署に行ったと。40歳ぐらいの男性がする行為として理解できません。(被害女性から)告訴されるとなって、なぜ自分で警察署に出向いていくのか。なぜ、定年退職をした警察官の父親が元の職場に同行しているのか。そこが、普通の人がとれない行動だなという気がします。説明してほしい。

常任理事

先ほど、「だったと思います」とお伝えしました。父親と一緒に行ったか定かではないんです。弁護士と行ったかもしれません。そこについては詳細はわかりません。申し訳ありません。

集英社オンラインの記者

(医師会の)元男性職員は(被害女性の)雇用主を名誉棄損で告訴しているじゃないですか。雇用主が「刑事告訴するぞ」と言った、刑事告訴の主体は被害女性じゃないですか。その件に関して、自分が訴えられる状況で、(刑事告訴)されたかもしれないと思って自分から(中央署へ)行ったのは、「私はしてません」と自分が言いに行ったのですか?

常任理事

そこの詳細は、さすがに当事者ではないのでわかりかねます。

参照:↓2024年6月10日付・集英社オンラインの記事

集英社オンラインは、県医師会へ質問状を会見前に送付していた。今回の会見は、その質問への回答でもあるという医師会側の説明だった。集英社オンラインがどのような報道していたのかを参照まで。https://shueisha.online/articles/-/250785?page=1

ウオッチドッグ記者
★コメント

県医師会は、「県警との癒着はない」と主張するために会見を開いた。しかし、肝心な部分を事前に調査していないですね。県医師会の調査委員会は、元男性職員が誰と一緒に中央署へ行ったのか、そこを確認していないのですか。「事実を認定するための調査だった」と会見では言ってましたよね。不思議です。

肝心な部分が「わかりません」だらけでは、県警との癒着がなかったと主張するには、無理がありました。