ウオッチドッグ記者が毎年、入手する資料がある。「琵琶湖を美しくする運動実践本部」の総会資料である。年1回行われる琵琶湖市民清掃は、多くの市民に参加を呼び掛けているが、運営実態や役員名などは、明らかにされていなかった。そこで2014年に調査を開始した年から、資料の開示を環境政策課に求めてきた。

そこで、毎年、同じように繰り返される大津市環境政策課の呆れた対応を紹介する。
5月17日の午前中に、ウオッチドッグ編集部は「平成30年度 琵琶湖を美しくする運動実践本部の総会資料」の公文書公開請求書を、市政情報課までFAXした。

その日の午後に、たまたま市役所の前を通った。総会資料をFAXで情報公開請求したが、思い直した。情報公開制度を使わず、市民への情報提供として提供してもらえないかを、環境政策課に確認に行った。

というのも、2014年に自治会の役員になった時、「琵琶湖市民清掃の総会資料をください」と環境政策課に言いに行ったら、総会資料をくれたからだ。

2015年1月に、大津WEB新報で情報発信を始めた。その年の6月に、「琵琶湖市民清掃の総会資料をください」と環境政策課に昨年と同じように言ったら、「お渡しできません。情報公開請求をしてください」と言われた。これには、呆れ果てて「昨年はいただきましたが」と伝えると、「昨年は、自治会役員をされているからお渡ししました。今年は違いますよね。だから、情報公開請求をしてください」という話だった。

そんな馬鹿な話がありますか。昨年は自治会の役員をしていたから配布して、今年は役員ではなく、自治会員だから配布しないというんですか。自治会員だけでなく、多くの市民に参加を呼びかけているのに、運営実態を見せないとはどういうことですか。

見せないとは言ってませんよ。情報公開請求をしてくださいと言っているんです。

ウオッチドッグ記者は、釈然としないながらも、その年から毎年、情報公開請求して資料を入手した。しかし、今年は、大津市幹部と大津市自治連合会の8000円の宴会の模様を見てきたばかりなので、ムカムカ感が膨れ上がってきた。住民から集めた自治会費を、自身の宴会費用に充てている自治連合会長が多数いることを知っているからだ。一方、情報公開請求した資料は、タダでは入手できない。1枚10円かかる。ちりも積もれば山となる。けっこうな取材費用を自己負担しているから、癪にさわった。そもそも、琵琶湖市民清掃は、大津市が率先して市民に参加を呼びかけている事業で、事務局を環境政策課が担っている。大津市がホームページで、琵琶湖市民清掃の収支や運営実態を公開すれば済む話だ。毎年の総会資料は、ほぼ同じ構成となっている。

琵琶湖を美しくする運動実践本部の総会資料を、情報公開請求してましたが、情報提供してください。

情報提供ではお渡しできません。それに、まだ総会はやっていません。「案」の段階なので、お渡しできません。

今朝、FAXで情報公開請求した時は、総会をまだやっていないので公文書として持っていないということは聞いていません。総会はいつなんですか?

5月23日です。開示日まで日数があります。それまでに総会が行われるので、今は持っていなくても出せないというわけではないので、出してあげられると配慮したつもりですが。

(連絡もないのに、何が配慮じゃと思いつつ)それなら、23日で議決されてから、お渡しくださいよ。

無理です。いつもの通り、情報公開請求をしてください。

しかし、毎年、同じような中身の資料ですよね。公開するか非公開するかは、過去に既に判断されています。ほとんど公開でしたよね?

個人に関する印鑑部分は、非公開でした。

そこの部分だけ塗りつぶして渡してくれればいいんじゃないですか。

一応、課で協議したいので、情報公開請求してください。

そもそも、大津市が市民に、琵琶湖市民清掃の参加を呼びかけているじゃないですか。「広報おおつ」でも参加を呼びかけてましたよね。それなのに、どんな団体がどんな運営しているかを教えないとはありえない対応でしょう。積極的に公開すべき情報でしょう。ホームページで出してくださいよ。

ホームページについては、「実践本部」が制作準備をしています。

へぇ。それは面白いですね。では、その制作中のサイトで、収支決算書などのお金に関することも出してくれるんですか?

それは知りません。何を出すかは、実践本部が決めることです。

おかしいでしょう。元々、市の補助金で運営している事業ではないですか。市民に参加してもらっているのだから運営実態を明らかにするよう指導するのが、行政としての大津市の役目ではないですか?

それは大井さんのお考えですよね?

はぁ。誰もが思う当たり前のことではないですか?

そうしたやりとりがあった後、ウォッチドッグ記者は、釈然としない事実に気づいた。5月23日に総会があると言いながら、4月の「広報おおつ」で、市民に清掃の参加を呼び掛けていたことを。

環境政策課へ電話した。

5月23日に総会があるなら、まだ総会の議案が議決されていないじゃないですか。議決されるかどうかもはっきりしないうちに、4月の「広報おおつ」で、琵琶湖市民清掃のお知らせをしたのは、どうしてですか?

5月に総会をすると、琵琶湖市民清掃の開始日まで時間がありません。それで、平成28年3月の臨時総会で、実践本部の役員会で先に要綱などを決め、4月にお知らせするということが提案されました。そのやり方で構わないということがその臨時総会で決まりました。

役員会で肝心なことを決め、5月の総会は追認だけの形のようだ。そもそも、5月の総会も各学区自治連合会の役員3人が出席するだけの限定的な総会だった。昨年度から、一部の実践本部の役員だけが出席した密室性の高い会議で、琵琶湖市民清掃の運営などについて何もかもが決定されることになったという。

↓下記は、平成28年6月に情報公開請求した「平成28年度 琵琶湖を美しくする運動実践本部の総会資料の表紙」と「非公開部分の個人に関する印影の資料」。2か所の印影の非公開以外、全部公開だった。この2か所を黒塗りして配布すればすむことを、課で協議するため、情報提供はできないというのが環境政策課の説明だ。


↓2018年4月15日の「広報おおつ」に、琵琶湖市民清掃のお知らせが掲載している。5月23日の「実践本部」の総会で議決する前に、大津市が市民へ参加を呼びかけている。市の説明では、実践本部の総会を経てなくても、実践本部の役員らが前年度の会議で事前に決めているから問題ないという。


※アイキャッチ画像は、2015年度の琵琶湖市民清掃の仮置き場でのごみ処分を撮影したもの。各学区自治連合会が依頼した業者(無許可業者含む)らは、処分場ではなく仮置き場へ、計量せず、そのままごみを積み下ろしていた。(撮影日:2015年7月5日、撮影場所:太田廃棄物最終処分場の手前にある仮置き場、撮影者:ウオッチドッグ記者)