ウオッチドッグが、滋賀県知事宛で情報公開請求した「2018年度、2019年度の南郷水産センターの県有地と建物の減免に関する資料の一切」で、県財政課は274枚の文書を隠蔽したが、水産課も、他に53枚の関連文書を隠蔽していたことが判明した。条例に照らして判断するのではなく、「県にとって都合の悪い文書を県民に開示しない」という形で、県職員が恣意的に情報公開制度を運用している。県民の県への信頼は大幅に失墜している。
今回の経緯を時系列に沿って明らかにする。
◉6月7日
ウオッチドッグ記者は、南郷水産センターの減免関係の文書を情報公開請求した。請求書を受け取った県民情報室は、水産課へ伝えた。後日知ったが、請求書が届いた後、水産課は財政課と協議したという。その時にどのようなやりとりがあったかは不明だが、結果として財政課は274枚の減免に関する文書を一切出さなかった。
◉6月20日
水産課が、ウオッチドッグ記者に82枚の文書を開示した。
◉7月1日
滋賀県市民オンブズマンから、「財政課が保有している青年会館の減免関係の文書に、南郷水産センターについても触れられていた部分があった。しかし、その部分は黒塗りでわからない。財政課と水産課の協議文書がある」という情報提供を受けた。
◉7月2日
県水産課へ電話した。「水産課と財政課の減免関係の協議録があるんですよね?」と問い合わせすると、水産課の職員は「あるといえばありますが、担当者レベルのやりとりなので、公文書ではないです。だから、出しませんでした」と回答した。
担当者の協議録が公文書ではない?「そんな馬鹿な」と憤り、県民情報室に県情報公開条例について、問い合わせした。県情報公開条例には手引きがあり、その解釈によると、「課長以上が決裁したものを公文書」という内容の一文があった。
水産課の職員が、担当者のやりとりは公文書ではないと主張していた。ということは、条例の解釈に照らし合わせると、水産課の減免に関する協議では、課長らの決裁が行われていなかったといえる。プロセスをすっ飛ばし、突然、95%減免にするという結果だけを、県は公文書として管理していますと宣言しているようなものだ。ウオッチドッグ記者は、県の説明にほとほと呆れた。
◉7月8日
別件で確認事項があったので、水産課へ電話した。すると、突然、水産課の職員は、思わぬ話を切り出した。
↓県水産課との電話の後、「6月7日の南郷水産センターの減免に関する一切の請求で、開示資料に含まれていなかった協議録」を情報公開請求した。
◉7月22日
水産課から、再請求分の文書の用意ができたという連絡が入る。
◉7月23日
水産課から53枚が開示された。協議録を情報公開請求していたが、実際は、協議録は5枚しかなく、それ以外の48枚は、全て減免関連のデータや覚書などだった。6月7日の最初の請求の時、これらの重要な文書を隠していたことになる。
南郷水産センターの減免関係の文書を、情報公開請求すると、滋賀県は、都合の悪い文書を隠して出さなかった。再請求してからやっと出すことになった財政課274枚と、水産課53枚を加えた計327枚が、県が見せたくなかった文書といえる。何を見せたくなかったのか? 開示された公文書を分析して、追々、お伝えしましょう。
何のための情報公開制度なのか。やりとりを確認すれば、いかに滋賀県が悪質な隠蔽工作をはかっていたかが分かる。職員が職務のために使っている文書が行政文書(公文書)だ。通常はファイルにとじられている。そうしないと仕事にならないからだ。担当職員ならば、コンピュータで検索する必要もない。日常的に使っている文書だからだ。それを「ない」と言い張る。「嘘でした」では済まされない。情報公開条例違反だ。 指摘を受けると、しどろもどろになり、言い繕う、ごまかす。県職員としての誇りはどこにもない。