大津市の越直美市長ら16人の幹部が、大津市自治連合会と琵琶湖ホテルで大宴会を開いた。自治連は多額の補助金を受けており、大津市の「利害関係者」に当たる。両者のベッタリの関係は何なのか、市民から疑惑や不信の目が向けられている。しかし、越市長は「届けを出せば、職員が宴会に参加しても問題はない」と開き直っている。

越市長は2016年11月11日の記者会見で、市が主催していた自治連合会関連の宴会を今後は止めると明言した。それまでは市が食料費を使って、自治連の幹部らに宴会の席を設けていたのだから、市民はあきれるしかない。その一方、越市長は「意見交換の場は必要」とし、「市民センターや市役所なので飲食を伴わない懇談」を自ら提案していた。

仮に自治連や自治会が地域を代表しているとしても、各地域にどのような問題が起こっているのか、どう解決すべきかを話し合うのに、宴会や飲食の場を設ける必要はない。場所は市の施設を使い、公務の時間中に行えばよい。

ところが、越市長は5月10日、市の幹部をずらり引き連れて、琵琶湖ホテルで開かれた自治連の大宴会に出席した。越市長は当日、会場でウオッチドッグの単独インタビューに応じ、1人8,000円の会費は自己負担で、しかも事前に届け出を出しているのだから、市職員倫理条例にも違反せず、「問題ない」との認識を示した。なぜ復活させたのか?

本当に問題はないのか? 実はおおいにある。一つは、越市長の言葉があまりにも軽いことだ。記者会見での発言は本来、重いはずだ。自治連を招いた市が主催する宴会を止めると明言し、飲食を伴わない場で意見交換をしようと述べたのは何だったのか。市が主催する宴会ではなく、自治連が主催する宴会ならばOKだと開き直るつもりだろうか。言い逃れは許されない。

もう一つは、弁護士資格をもつ越市長が、条例の網の目を自らくぐり抜け、その趣旨を逸脱した行為を正当化しようとしている点だ。端的に言えば、越市長は説明責任を果たしていない点に問題がある。

確かに市職員倫理条例は「一般職員は、自己の飲食に要する費用について利害関係者の負担によらないで利害関係者と共に飲食をする場合において、自己の飲食に要する費用が6,000円を超えるときは、あらかじめ、その旨を任命権者に届け出なければならない」(第9条)と規定している。これを持ち出し、越市長は「私や幹部はこの条文に従っている」と主張するだろう。

この条文中の「任命権者」は市長自身である。市長自らも参加し、他の職員についても市長が認めればよい、という構造になっている。そうなると、問われるべきなのは、越市長が幹部と一緒に自治連の宴会に参加すると判断したこと自体が、正しかったのかどうか、である。この条例は、「職務の執行の公正さに対する市民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する市民の信頼を確保することを目的とする」(第1条)のために作られている。越市長は、ルール通りに届け出たから問題はないと、自らの行為を正当化するのではなく、自治連との宴会に参加すること自体が、行政の長として正しい行いなのだと説明しなければならない。「市民の疑惑や不信を招く」恐れがないように、市民に十分説明する必要がある。

記者会見で口にした「市民センターや市役所なので飲食を伴わない懇談」はどうなったのか。なぜ、市の利害関係者が主催する、1人8,000円という宴会に幹部多数が同席する必要があるのか。公務でないのに、なぜ幹部16人もがそろって出席するのか。越市長は「ルールには違反してない」と主張しているに過ぎず、これらの問いには答えていない。市民の目には「高額な会費に自腹を切ってまで、市の幹部がいそいそと大宴会に参加している。よっぽど自治連の人たちと仲がいいのだろう」としか映らない。

折しも、市民センター統廃合の案に反対する住民の署名受け取りを、大津市が拒否するという事態が起こった。大津市が受け取らない理由は「大津市自治連合会の要請があったから」(市民部長)である。市民の署名は受け取らないが、自治連の言うことには従う。やっぱり両者は特別な関係だとしか言いようがない。市民の間にはますます「疑惑や不信」が高まっている。

↓2016年11月11日の大津市定例記者会見

↓利害関係者との宴会の届け出/越直美市長へ各部の部長ら