台風21号の影響で9月4日から5日にかけて26時間続いた大津市・山中比叡平地区の停電で、大津市が要援護者の安否確認を怠っていた問題で、関係する2つの課が、連携も情報共有もしていなかったことが、ウオッチドッグの取材でわかった。

ウオッチドッグ記者は9月6日、市役所内で長寿政策課と、福祉政策課の2つの課を取材した。長寿政策課は高齢者の問題を所管している。また、福祉政策課は、地域福祉計画など、福祉行政のあるべき方向性を決め、災害援助法の適用業務を担っている。

記者は「今回の災害で、大津市は要援護者の支援にどう動いたのか?」と質問した。長寿政策課の課長補佐は、「出先機関の地域包括支援センターに情報が入っているかどうか確認しないと、市がどう動いたかということには答えられない」と話した後、席に戻り、その後、取材に応じなかった。

出て来ない課長補佐に代わり、対応した係長は、「安否確認は、地域の民生委員がすることです。何もやっていなかったかと言われれば市としてはやっていません」と、大停電の地域があったのに、行政として何らのアクションを起こさなかったことを認めた。その後は、自らには責任がないという態度に終始した。

「介護保険制度の対象の方は、ヘルパーや支援者から連絡がくる」、「制度に入っていないそれ以外の方を支援するのは、民生委員か自治会でしょう」と、責任を他へ押しつけた。「民生委員が動いたかどうかの確認まではしていません。それは、福祉政策課の管轄。自治会のことは自治協働課でしょう」。挙げ句には「記者の方の質問と思って受けていましたが、市民の方の要望ですか」と、気色ばんだ対応に終始した。何かできることがあったかもしれないという発想はないようだ。

次に取材した福祉政策課では、課長が「民生委員は高い使命を持って、支援にあたっている方ばかりなので、安否確認はされたでしょう」と話した。不在の民生委員はいなかったのだろうか。個々の民生委員がどう動いたかは、災害発生から2日経っても情報収集していなかった。

さらに「民生委員は、民生委員児童委員協議会連合会に所属しているので、こちらでは、詳しいことはわかりません」と、逃げの姿勢に。一方、大津市からの情報の伝達については、肝心の災害に関する詳細な情報を、関係機関や民生委員児童委員協議会連合会に、伝えていなかったことを認めた。

福祉を担当する2課は、民間人の民生委員に要援護者の支援を丸投げし、「やっているだろう」という願望を持っているのにすぎず、ライフラインが止まった時に行政としてどう動くかという意識は、全く見られなかった。災害時の行政としての支援体制づくりはゼロと言ってよいだろう。挙句の果てには、民生委員に責任を押し付けるような説明を繰り返した。内外の関係機関と情報の共有も連携もしていないことを自ら露呈した形だ。

↓大津市の長寿政策課が策定/おおつゴールドプラン2018/基本目標4:安心して暮らし続けることが整っているまち/防災・安全対策の推進/ひとり暮らし高齢者宅安全対策の推進
http://www.city.otsu.lg.jp/soshiki/020/1437/g/keikaku/1524119551109.html