大津市の越直美市長は、市民センター統廃合問題で、25の支所の支所機能や窓口業務を縮小しようとしている。一方で、コンビニエンスストアを代替機能として、積極的に活用しようとしている。ウオッチドッグは、コンビニで証明書を発行すると、その手数料分が、総務省の外郭団体「地方公共団体情報システム機構」に入ることを取材で知った。大津市戸籍住民課に、「地方公共団体情報システム機構」に関する文書の情報公開を求めたが、なんと、その決定を45日延長するという通知書が届いた。理由は、文書の中に「機密情報」があるかもしれず、この団体に確認中なので時間がかかるという説明だった。

たかだか一地方の自治体と総務省の外郭団体が交わしたコンビニ手数料についての契約書に、「機密情報がある?」と驚いたので、それならばと、2月28日に機構側へ直接、電話で問い合わせをした。広報担当者に、大津市との契約書や手数料についていくつか質問をした。担当課に確認してから返答したいということだった。

機構側から回答の電話が3月5日にきた。いくつかの点で、大津市の説明とは食い違っていた。やりとりの一部を掲載する。

前回の質問の続きです。貴団体と大津市が交わした契約書を情報公開請求したら、決定が45日間延長されました。自治体が保有している契約書を公開するか、非公開するかを判断するのに、一つひとつお伺いを立てるような決まりがあるのですか?

担当課に確認しましたが、それはないです。「契約書は出してもいいです」と、大津市に伝えています。

防衛省じゃあるまいし、「機密情報」などと書いて延長していたので、何ごとかと思いましたよ。

ハハハ。

貴団体からの返答に時間がかかって、文書開示が延長となった、と大津市は説明していました。なぜ、これほど、時間がかかったのですか?

大津市から、2月25日までに返答してほしいと言われていたようです。25日には、返答しています。

※機構側は大津市に対し、「開示して構わない」と2月25日までに返答していた。にも関わらず、大津市はその2日後に、機構側にまだ確認中なので、決定を45日間延長するという通知を出したことになる。つまり、大津市の説明は虚偽だったことになる。3月6日になっても、大津市から開示決定の連絡はない。

大津市は、訳がわからないですね。これも、前回の質問の続きですが、コンビニでマイナンバーカードを使って証明書が発行されると、1件当たり115円が手数料として、貴団体(とコンビニ)が受け取ることになっています。貴団体はこの手数料を、どんな名目で受け取ることになっているのですか?

私どもは手数料を受け取っていません。証明書の発行のために利用者がコンビニで300円を支払うと(大津市では200円)、手数料分はコンビニ本社にいきます。つまり、手数料分の115円はコンビニのものとなり、残りの金額は(利用者からの徴収額300円なら185円、200円なら85円)、自治体へいきます。私どもは、コンビニ本社から届いた自治体分の金額を、各自治体ごとに振り分け、送金しています。

しかし、大津市の説明では、貴団体へ支払ったという説明でしたけど。

契約上は、委託契約となっているので、支払いという形ですが、便宜上のもの。実際のお金の流れは違います。

そうなると、矛盾が出ます。貴団体が、コンビニと自治体の間で、振り分け作業していることになりますが、手数料も何も受け取らなかったら、タダ働きになるのでは? 何か受け取っているでしょう?

おっしゃる通りです。それが自治体からいただく負担金です。

でも、貴団体が中間に入って、振り分け作業をしているのも変ですね。コンビニ本社は(自ら受け取る手数料を差し引き)、残りを各自治体へ送金すればいいんじゃないですか?

コンビニ本社の方でも、けっこうな作業量となりますので、こちらで業務をした方が効率的といいますか…。

ご説明の通りなら、振り分け作業代が、貴団体の予算書に書かれている「地方公共団体負担金(約52億円)」ですね。とすると、コンビニの手数料分は、この予算書に掲載されていないということですね?

その通りです。

※コンビニ本社から、地方公共団体情報システム機構へ、手数料分が全く支払われていないという話は、今の段階では、断定できない。コンビニの利用率によって、負担金の金額が変わらなければならないが、実際はそうでない。利用実態からではなく、自治体の規模に応じた負担額というのもおかしすぎる。当初、大津市は、地方公共団体情報システム機構への手数料のうち、コンビニへの支払い額のほうが多いということを聞いたと話していた。地方公共団体情報システム機構が、コンビニから手数料分を全く受け取っていないという説明ではなかった。今回、広報担当者の口頭説明だけで、手数料を受け取っていないという物証は、提示されてない。

↓地方公共団体情報システム機構の説明を、図解にしてみた。

貴団体の予算書に、「自治体中間サーバー関連交付金」(約40億円)という項目が書かれていますが、これは何ですか? 総務省からの交付金ですか?

総務省からの交付金はないです。自治体中間サーバー関連交付金は、コンビニ利用分の負担金とは違います。こちらもいろんなことをやってますので、それの交付金です。

ということは、各自治体から出ている交付金ということですか?

そうです。

個人番号カード等関連交付金(150億円)は、マイナンバーカードに関する各自治体からの交付金ですよね。毎年、同じような金額が出ているんですか?

そうです。

それって変ですよね。マイナンバーカードという配布数が限られたものに関する交付なら、金額が年々減っていかなければならないはず。ある一定数になれば、後は減り続けるものかなと思いますが…。

おっしゃる通りです。しかし、日本の人口は、1億2千万人ですが、マイナンバーカードは、その1割強しか普及していません。

それって、必要ないから普及していないだけですよね。総務省の失敗事業じゃないですか?批判的な記事をけっこう目にしますが。

そうおっしゃる方は多いですが、私どもとしては、マイナンバーカードを普及していきたいと思ってます。

これも前回、質問してましたが、地方自治情報センターが、民主党時代の2010年に、無駄事業のひとつとして、事業仕分けの対象になっていたのは本当ですか?

調べました。確かに、事業仕分けの対象として指摘されてました。官庁OBの再就職の自粛と、調達の改善です。

調達の改善というと?

システム構築のために、企業に受注するのですが、特定の企業に発注する随意契約をしていたこともあり、改善しなさいという指摘を受けた次第です。

それって、大津市と同じですよ。どこの課も、随意契約のオンパレードです。毎年、同じ特定企業に、発注していますよ。

今は、それではいけないということで、より透明性を確保するために、一般競争入札にして、契約監査委員会で外部の方からチェックしていただいてます。

↓2018年度「地方公共団体情報システム機構」の予算損益計算書

↓大津市から届いた延長通知書