さぁ、さぁ、2019年最初の記者会見(1月11日)で、越直美市長と京都新聞記者の大バトルが始まりました。野次馬ニュースの実況は、ウオッチドッグ記者。解説は、ウオッチキャットでお送りします。

キャットさん、意外な展開になりましたね。

はい。1月11日の記者会見ですね。いつもの広報課だったら、1か月遅れの2月中旬に会見録を発表してるけど、今回は会見録を出すのは早かったですね。http://www.city.otsu.lg.jp/shisei/mayor/teireikisyakaiken/h30nen/22559.html

会見から18日後ですか。

これでも遅いけど、やればできることを証明しましたね。今まで、ただズボラなだけだったということがわかりました。

今回の会見録の見どころはなんですか?

やはり、越市長と京都新聞の熱いバトルです。いつもの眠くなるような会見録と打って変わって、今回は熱い闘いが繰り広げられています。記者クラブの会見で、こんな熱い闘いは何年ぶりでしょう。

なぜ、こんな展開に?

2018年12月23日に報道した京都新聞の「市職員が右翼関係者ら伴い異動迫る、大津、不当要求を公表せず」と、「大津市職員の不当要求、組織的隠蔽を否定 判断根拠は不明瞭」の記事が発端のようです。京都新聞の記者は、この記事を発信した後、今年1月11月の記者会見で、「市長は、この問題を把握していたのか?」と問いただしています。

まずは、現場からの中継です。

 

京都新聞記者の質問に、市長は答えず、報道に難癖をつけてますね。キャットさん、これは、どうでしょう?

う~む。1発目から、市長は、得意技のひとつ「問題のすり替え」を出したね。かなり焦っている。最初から、これを出して切り抜ける作戦できたー。

さあ、京都新聞はどう出る?

京都新聞の記者は軸がぶれませんね。「この質問に答えてほしい」と再度、投げかけてます。それに対して、越市長は「中枢部分を抜いている。重要な事実を切り取られている。隠さないで報道してもらえるのかがわからない。私が答えても正しく市民の皆さんに伝わると思えない」と発言しています。

キャット風に言い直すと、「私が答えない理由は、あなたがちゃんと報道しないからでしょ」ということか。こんな屁理屈を自治体の首長が言ってるのだからびっくり。この屁理屈に、記者はどう返した?

なるほど、なるほど。京都新聞の記者は、編集権を持ち出しました。

そもそも新聞社は、市長の下僕じゃないから、当たり前のこと。記者の話では、経緯にあたるセクハラ裁判で、無罪になった人物もいるので、安易にセクハラであったり、強制わいせつ事件というような報道は難しいから、あのような報道になったとしっかり説明している。キャットも納得したよ。

市長は、職員の右翼関係者を伴った不当要求の問題より、その前の経緯の方に焦点を当てたいようだニャ。

「私が適切に判断したことを、書いてください」という市長の発言に、京都新聞の記者は「わかりました。要望は受け取りました」と淡々と答え、「こちらの質問にお答えできますか」と詰め寄りました。

この間合いは、いいね。ほんと。

ムカムカしたのか、越市長もかなりの意固地な対応になってきました。「不当だ」とまで言い出しました。ここで「市民に伝わらない」とも言ってますね。

いつも1か月遅れの記者会見録を出している市長が、我が身を顧みず、この発言はない。

ここで、京都新聞の記者は、最初の質問に戻りました。「この問題を認識していたのか」という質問を投げつけました。おっと、市長がまたもや、「私は全部答えますが、ちゃんと書いてくれるんですか」と、言い出しました。

ちょっと、待って。かなりの問題発言が出たね。市長が、メディアに対してちゃんと書け、と言ってる。

書くか書かないかは、報道側の主体的な判断で決めることですよね。

会見する側に、ちゃんと書けと指図される筋合いはない。京都新聞の記者は、「お約束できない」と答えているね。その通りだニャ。

おやおや、市長の発言で気になることが…。不当要求に該当するのは、市民からの要求のケースで、職員からの要求のケースは、不当要求とは違うと言ってますね。市長が処分を判断するだけって。

えっ、それは変だニャ。そもそも、市民が右翼関係者を伴って市役所へ何か恫喝まがいの要求をしに行ったら、ひどい場合は、市が警察へ連絡して、当該人物らは事情聴取されるのでは。職員が同じことをしても、市長が処分しなかったら何の咎めもなしということになるね。おかしすぎるー。

京都新聞の記者は、「セクハラの認定と不当要求と認定するかどうかは別の話」と冷静に答えてるよ。

ちょっと待ってください。市長は、別の問題じゃないと言ってます。キャットさん、これはどういう意味でしょう?

簡単に言いかえると、何でもいいけど理由があれば、右翼関係者を伴って、行政の人事に介入してもよいということかニャ? 破綻した論法でまたもやびっくり。市長は、女性職員が退職したから決着がついたように言ってるけど、女性職員と一緒にいた男性職員は、何の処分も受けてない?

総務部の担当課が「男性職員については、理由があったから処分していません」と言ってました。

どひゃ。これには、口があんぐり。「市長は、指示した日は覚えていないが、大まかなことは、市全体で考えている」と言ってます。「判断が間違っているということもありません」と断言しています。京都新聞の記者から、市全体の問題として、「隠蔽ではないか」と問われると、「記事の方が隠蔽」だと返してます。こうなると意味がわからないですね。

公職についている市長が、記者から「隠蔽ではないですか?」と質問されて、「あなたの記事のほうが隠蔽でしょう。一部の事実を切り取っているんだから」と言っている。隠蔽でなければ、「隠蔽でないです」と言うだけでいいのに。市民の皆さんから不当な要求があった場合、公表してませんとも。だから、職員の不当要求は、公表しないという論だニャ。

でも、市の職員は、言うまでもなく公務員ですよね。

公務員が所属先に、右翼関係者を伴って不当要求をして、何の咎めもなしで、それ以降も公務をするって問題じゃないの。そんな人物にそのまま公務をしてもらって、市民は納得できないね。

市長は、双方の主張が違ったから、わからなかったと言ってるね。京都新聞の記者が、すかさず、(市職員が右翼関係者を連れて、人事異動に口を出すという)行為の内容を市長がどう見ていたか聞いている。

おっと、ここで市長は、「私が説明しても無駄。その部分も書かないから」と、京都新聞の記者へ、質問へのカウンターパンチを繰り出しました。

市長の「どうせ書かない」という嫌味に、京都新聞の記者は、別の矢を放った。いいぞ、いいぞ。それに対して、市長は「不当要求ではないという判断をしていない」と言い出した。ヒェ~。最初の発言を変えてるよ。なんと、巧妙な・・。逃げ口上に代わったー。

いよいよ、会見も佳境に入ってきましたね。

この逃げ口上に、京都新聞の記者は、質問の伝家の宝刀を抜きました。「大津市は、不当要求があっても、不当要求だと判断しないんですか?」

やったね。

やりました。

ヒャー、市長は、この質問に、「しないですね」と拍子抜けするぐらいあっさり答えたよ。そして、またもや、今回の件と市民の要求を、同列で並べて説明を始めたー。

市長の開き直り説明に、京都新聞の記者は再び、質問を変えました。「右翼かどうかご認識はいかがですか?」と。市の公文書に、右翼関係者とチェックしていたのですから。市長は、右翼というだけで処分する、右翼というだけで処分しないということではないと言ってますね。キャットさんは、どう思いますか?

だったら、右翼かどうかを抜きにしても、行政内の人事異動に、市職員が外部の人間を連れて来て、恫喝まがいの言動で介入するということは、処分に値しないのかな。市長の説明は矛盾しているよね。

市長の曖昧な答えに、京都新聞の記者がさらに質問攻めにしている。このしつこさは、賞賛に値するよ。しつこい京都新聞の質問に、市長は「懲戒処分という判断はしていない」とまたもや、「処分」の話を持ち出して、切り抜けようとしているよ。なかなか、しぶとい。

この後の京都新聞の記者の発言は、冷静ですね。「それはわかってます」とひと言。これに対して、市長は、「それが、答え。強制わいせつのこと、書いてくれるの」とまたもや、記者に無茶苦茶な要求を投げつけました。

編集権への介入。この市長の、再度にわたる介入に、京都新聞の記者は「それはお約束しかねます」と突っぱねた。いいぞ。いいぞ。👏

記者はすかさず、情報公開請求中に破棄された公文書について質問してますね。

いい流れだニャ。

これに対して市長は、「裁判で主張していくので、この場では答えない」と言ってますね。記者には、「あなたの書き方では市民に伝わらない」と仕切りに言っていたのに、首長としての自らの説明は、裁判の中でしか答えないということです。

公文書の破棄について、調査はしないとも言っているよ。調査しないのなら、裁判でどう主張するのか謎だニャ。推測かな?

そして、市長はまたもや「ちゃんと書いてほしい」と、記者の書き方が悪いというイメージを植え付ける戦法を出してきました。

「私は悪くない。あなたが悪い」という問題のすり替えは、市長の得意技だもん。

市長の度重なる嫌味に、「こちらも根拠があって書いてます」と京都新聞の記者が反論を繰り出しました。おっと、これに、市長は「こういう議論をしても、結局書かれない」と、「私は悪くない戦法」の大技をかけ始めました。

「議論」ってどういうこと? よくわからん発言だニャ。記者会見上の「質問」でしょうに。

そして、また市長は、「不当要求の類型はいろいろある。不当要求と処分は違う。不当要求は、市民のケース。職員を処分するというのは別。だから、最終的に(処分の)判断していない」と同じ説明を繰り返しました。これには、さすがに京都新聞の記者も呆れ加減に、「はい。判断していないということですね」とだけ。

この市長に、いくら質問しても、まともな回答がないと、記者は悟ったと思うよ。

市長は、会見の最後の最後まで、京都新聞の記事にダメ出しを続けました。

市長の自己正当化と、責任転嫁が甚だしい会見ですな。市民に伝えたかったら、民間の新聞社の編集にいちゃもんつけずに、直属の「広報おおつ」や市のホームページに書けっちゅうに。

京都新聞の記者の粘り強い質問は、市長の実像を赤裸々に暴いてます。

他の記者の質問が記憶に残らないほど。ぶったまげたニャ。次回もどこかの社の記者が、これだけの追及をしてくれたら、記者会見も盛り上がるのにな…。野次馬ネコも増えるよ。

以上、野次馬ニュースをお送りしました。

 

■実況・解説を終えて■

この会見後の1月11日日に、京都新聞は「大津市職員の不当要求、市長『対応問題ない』」という見出しで会見内容を報じた。そして、記事の最後の部分を、こう締めくくった。

余談として、ウオッチドッグ記者が、総務部人事課に確認したところ、右翼関係者を伴って現れた該当職員は、目片信前市長の時代に採用された職員とのことだった。