大津市の環境部と市民部が、任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部(主体は大津市自治連合会)」へ協力して開催している「琵琶湖市民清掃」では、「実施要綱」に雨天の場合は中止すると明記されていない。

ウオッチドッグ記者は「2024年度・琵琶湖市民清掃で6月30日に大雨でも実施を決めた経緯に関する記録」を大津市長宛で情報公開請求した。所管課の市環境政策課は「実施判断は、2024年度琵琶湖市民清掃実施要綱に基づき決定したものであり、実施決定に関する経緯を作成する必要がなく、公文書は作成していないため存在しない」と、記録なしの非公開決定の通知書を出した。

大津市では、従来から大雨でも琵琶湖市民清掃を実施してきた。市民の安全より、行事をこなすことを優先にしていることについて、ウオッチドッグでは前身の大津WEB新報の時代から問題提起してきた。「実施要綱」の内容は、年数回開かれる役員らの会議でいくらでも変更できる。しかし、市も「実践本部」も「雨天の場合は中止する」と明記せず、「学区で判断する」余地を残している。つまり、責任逃れをしやすい、あいまいな表現のままにしている。

雨天決行して、もし問題が起こった場合、誰がどう責任をとるのかは明確にされていない。

ウオッチドッグ記者

雨天でも市民への清掃参加を大津市ホームページで呼びかけているので、佐藤健司市長に責任があるのでしょうか?

それとも、任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部」の本部長・大津市自治連合会長でしょうか?

↓2015年7月23日付・大津WEB新報の記事より

雷注意報でも決行/2012年の琵琶湖市民清掃/今年度も「雨天決行」/市民清掃№35

大津市の琵琶湖市民清掃では、過去に雷注意報が出ていたのに、決行していた年があったことが情報公開請求より明らかになった。各自治体からは批判が相次いだが、耳を傾けようとせず、今年度も「雨天決行」としていた。

2012年7月1日は大雨。雷注意報も出ていた悪天候であったが、事務局の大津市環境政策課と「琵琶湖を美しくする運動実践本部」は、事業を中止することなく決行した。36学区中、中止したのは青山学区のみ。他の35学区は決行したが、雨天は無理と独自に判断して、延期した自治会もいくつかあった。

各自治会から出された報告書には、大雨なのに決行した実践本部に厳しい意見が出ていた。
「こんな土砂降りの中15人も出てくれたのは奇跡ともいえる。情勢を見て急遽中止とか出来なかったのか。不信を憶える」
「雨天は無理です」
「2丁目自治会は雨天のため参加する高齢者の健康問題を考慮し、市民清掃を中止した」
「全般的には、降雨のため参加人数が少なく、作業が大変であった」
「雷注意報が発令中であったなど、本部の実施決定の方法に疑問が残り、スケジュールをこなすための行事に過ぎないとの意見があった」

大津市と実践本部は、大雨でも決行した過去の教訓を生かさず、いまも「雨天決行」を前提で事業を進めている。「雨天決行」と書きながら、最終判断は「各自治会」と追記して、問題が起こったときの責任を現場に押しつける形をとっている。

2015年にも2016年にも、ウオッチドッグ記者は問題提起してましたよね?
市民の安全より大事なものって何ですか?

↓2016年5月16日付・大津WEB新報の記事より

【解説】実施要綱の疑問④/「雨天決行」→「中止も検討」/大津市は市民の安全を軽視/市民清掃№73

琵琶湖市民清掃の実施要綱が今年度(2016年度)から大幅に変更された。昨年(2015年度)の実施要綱と比較しながら、数々の疑問を明らかにしていく。(文書上、今年度から加えた文面を赤枠で囲んである)

解説シリーズ第4回は、2016年度の実施要綱に書いている、「雨天時の対応」だ。今年度から雨天時は、実践本部が中止の判断も視野に入れるという。だが、各学区に判断を委ね、「実践本部」が責任を回避しようとする部分が見られるなど、なお問題がある。そもそも昨年度までは、市民の安全面を無視しても、強行していたことになるが、反省の言葉は一切ない。

さらに、市民に参加を呼び掛けている以上、大津市には何らかの責任があると考えられる。ところが、昨年度までも、そして今年度も、大津市はまったく知らんぷりを決め込んでいる。幼い子どもからお年寄りまでが参加する大規模な清掃活動なのに、雨天でも実施する意味はどこにあるのだろうか。大津市はボランティアで参加する市民の安全をあまりに軽視している。

2016年度の要綱によると、「気象警報発表に至らない雨天等の場合、中止の判断は実践本部が行う。実践本部の中止の判断に従った学区は、別の日に地域清掃(美化活動)に切り替えて実施する。学区の判断で実施をする場合は、当日の午前8時まで学区単位で市にごみ回収を依頼する。気象警報発表の場合は、完全中止とし、7月17日に実施する」としている。

一方、2015年度の要綱では、雨天決行。警報発令時の荒天の場合は1週間後に延期。「実践本部」には中止という選択肢はなかった。そのため、2012年に大雨で雷注意報が発令していても市民清掃を決行し、参加した市民から「事業のための事業ではないか」など批判の声が報告書に出ていた。

警報発令の際に「完全中止」は、市民の安全を考えれば当然のことだ。しかし、「気象警報発表に至らない雨天等の場合」については問題が残る。「実践本部」が「中止」を決めた場合でも、各学区に指示を徹底するのではなく、「学区の判断で実施をする」余地を残す形になっている。一見、各学区の自主性を尊重しているようだが、市民の安全や作業負担について「実践本部」が責任を回避しているようにも見える。

市民に参加を呼び掛けている大津市には、現場で作業にあたる市民の安全確保について責任がないのか。任意団体の「実践本部」に、雨天決行か中止かの判断を任せてよいのだろうか。

「雨天でも何としても実施してほしい。やってもらわないと困る」という理由と背景が何かあるんでしょうか? 大津市と実践本部が、実施要綱を頑なに変更しない理由を知りたいですね。

↓2016年6月19日付・大津WEB新報の記事より

【速報】雨でも決行/滑りやすい河川沿いや湖岸で/安全より「実施」優先/市民清掃№87

44年目にして初めて実施日を分割した琵琶湖市民清掃が6月19日午前、行われた。この日が分割実施の初日。朝からの雨天にかかわらず、大津市と「琵琶湖を美しくする運動実践本部」は、ゴーサインを出した。河川沿いや湖岸は足元が滑りやすい状態であった。大人だけでなく、子どもも参加している。市民の安全よりも、一斉清掃を実施することを優先させての決行となった。

本来、市民の安全を最も重視しなければならない大津市は、ホームページ上で「予定どおり実施します」と広報した。ところが、小さい文字で「実施の有無の最終判断は、各参加団体で決定されますので、ご加入の団体にご確認下さい」とも。主催者としての責任を回避した。「無理して参加する必要はない」など、安全に配慮したメッセージはひと言も発しなかった。

大津市と実践本部は2012年度、雷注意報が発令中でも一斉清掃を決行している。

↓2018年6月25日付・ウオッチドッグの記事より

大津市民のみなさん/参加を強制されてませんか?/琵琶湖市民清掃№9

2018年の琵琶湖市民清掃も雨天決行

ウオッチドックの前身となる「大津WEB新報」は、琵琶湖市民清掃の調査報道に力を入れてきました。その中で、主催する任意団体「琵琶湖を美しくする運動実践本部」による不適切なごみ処分や、不適切な補助金使途を明らかにしてきました。この団体の主たるメンバーは大津市自治連合会です。

ボランティアという本来の趣旨に反した「強制参加の呼びかけ」を見つけましたら、情報提供をお願いします。過去の大津WEB新報の記事を添付して、市民のみなさまへ注意を呼びかけます。

市民清掃の目的は「琵琶湖の美しさを自分たちの手で取り戻す、市民の自主的な清掃活動」。言うまでもなく、市民の無償ボランティア活動によって成り立っています。したがって、市民は自らの都合に合わせて、参加したければ参加すればよいだけです。琵琶湖の美しさをとりもどす美化活動は、365日いつでもできます。

万が一、地元自治会などから参加を強制された場合、あるいは有形無形の圧力をかけられた場合は、直ちに大津市役所の環境政策課へご連絡ください。