国会議員らが受け取っている文書通信交通滞在費(月額100万円)は、「住居手当分を含んでいる」と過去に報じられた(読売新聞2006年7月8日付)。衆参両院は議員宿舎を格安の家賃で提供している。国会議員は、都内の一等地の議員宿舎に格安で入居できるという優遇を受けながら、さらに、住宅手当を含んだ1人月額100万円の文書通信交通滞在費を受け取っている。こうした実態は、二重の優遇ではないか。

さらに、東京23区に住居がある議員らは、都心での滞在費は必要ないのに、地方選出の議員と同じく、滞在費を含んだ月額100万円の文書通信交通滞在費を受け取り続けている。

文書通信交通滞在費は、国民からの批判の中、月額75万円だった「文書通信費」に、1993年に「交通費」と「滞在費」が加えられ、33%アップの100万円に増額され、現在に至っている。1993年3月30日付の朝日新聞によると、増額の理由として、「滞在費は東京の議員会館にある事務所の維持のため」、「通信費などの物価上昇率を勘案し、滞在費を加えて算定した」と衆参両院の事務局が説明したとしている。

しかし、国会議事堂そばにある議員会館は、各議員の部屋に賃料がかからない。衆参両院の事務局にウオッチドッグが確認した。1993年に議員会館の事務所費の維持のためという名目で文通費を増額したことについて、衆院事務局は、「過去の報道なのでわからない」と話し、参院事務局は「なぜ、増額になったのかという会議録が見当たらない」と話している。

また、2006年7月8日付の読売新聞は「公費の行方・国会の闇」というタイトルで、「赤坂の議員宿舎300戸の建設が始まったこと」、「90戸近くの空室が発生する可能性」、「新しい宿舎への入居希望調査が行われなかったこと」、「300戸の是非が国会などで議論することもなかった」と報道している。この記事では、議員宿舎の問題を取り上げながら、文書通信交通滞在費についても下記の通り言及していた。

2006年7月8日付・読売新聞

「住居手当など月一律100万円」

衆院によると、議員宿舎は、終戦直後の1945年9月に国会が召集された際、東京都内のホテルや旅館など4か所が議員にあっせんされたことにさかのぼる。(中略)衆参両院議員には毎月、歳費130万円とは別に、民間企業の住居手当分を含めた『文書通信交通滞在費』として、一律100万円が支給されている。
2021年9月にウオッチドッグが衆参両院事務局に電話し、国会議員らの議員宿舎の間取りと家賃代を確認した。

調べてみると、両院とも約3分の2の議員が利用していることがわかった。衆院456人のうち270人が利用。また、参院議員245人のうち165人が利用している。
議員宿舎のまとめ

衆議院議員・赤坂宿舎(2007年築)3LDK 全300戸 

267人の衆議院議員が赤坂宿舎を利用している。空室は現在、33戸。利用率89%。

↑2014年3月28日・ANNnews/7年前に8万4338円から10万2298円に値上げするも、それでも、相場の5分の1。現在の家賃は下記の通り。

月額:13万8066円(2021年8月時点)

衆議院議員・青山宿舎(1961年築)2DK 全40戸

37人の衆議院議員が青山宿舎を利用している。築60年。空室は現在、3戸。利用率93%。

ここで疑問。2006年当時の報道では、青山宿舎は古いため議員らに人気がなく、空き室率7割の“ガラガラ”宿舎だったという。2007年に新しい赤坂宿舎が出来て、2021年現在、赤坂宿舎では空室が33戸あるのに、青山宿舎が2006年当時より利用率が高まっているのはなぜなのか? 本当に37人の議員が実際に宿舎として利用しているのだろうか? 「本当に議員らが住んでいるか?」というウオッチドッグの質問に、衆院事務局は「こちらで案内することではない」と回答を濁した。

月額:2万1638円(令和3年8月時点)

参議院議員・清水谷宿舎(2020年築)全56戸

47人の参議院議員が清水谷宿舎を利用している。空室は9戸。利用率84%。

↑2020年2月29日・Sankei News

3LDK 月額:15万8006円

1LDK 月額:10万9239円

↑2019年12月10日・ANNnews

参議院議員・麹町宿舎(1983〜97年築) 全146戸

118人の参議院議員が利用している。空室は28戸。利用率81%。

2DK(1983年築)

月額:4万5,174円  

3DK(1985年築)
月額:8万6,955円

2LDK(1997年築)
月額:9万2,210円