厚生労働省がホームページに掲載した、新型コロナウイルス感染の「全国クラスターマップ」が、4月初めから全く更新されていないことが分かった。掲載されているのは、3月末までの26件分で、記載漏れもある。実際は、国内で7月中旬までに、その約15倍のクラスター(集団感染)が発生しているとみられ、実態とはかけ離れた「マップ」となっている。なぜデータを更新していないのか、厚労省は明確な説明を避けている。

厚労省によると、実際には7月13日までに、国内で380件のクラスター(集団感染)が発生しているという。しかし、「マップ」は、クラスターの人数や発生日や、終息までの期間など、基本的なデータすら記載されてないまま、4カ月近く放置されている。厚労省は「クラスター潰し」策の基本となるデータさえ、迅速かつ正確に示すことを怠っている。

現時点で掲載されているデータの中身もお粗末だ。例えば、2月には和歌山県の病院でクラスター発生し、「検査トリアージ」を実施し、検査を徹底させ、早期に終息させたことを、各社が検証報道しているが、「全国クラスターマップ」には掲載されていない。こうしたお粗末なデータを、厚労省は「国内の発生状況など」というカテゴリーの中で、堂々と掲載している。

ウオッチドッグは5月上旬、大津市役所のクラスターに関する取材で、厚労省のクラスター対策班に問い合わせている。その際、担当者は「(4月まで起きた)全国のクラスターについて、都道府県から国への報告を義務付けていない。都道府県から相談があったときだけ対応している。感染者の情報は、毎日、届いている」と説明していた。つまり、クラスター対策班は、各都道府県から寄せられた事例しか「クラスター」として把握していなかった。

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どんな対策をして終息させたのか、発生人数と検査数、終息までの期間はどれぐらいかかったのか。それらを情報収集し、データ化したものを共有することが大事なんじゃないのかなあ?  成功例だけでなく、失敗例からも学ぶことがあるんじゃないの?

↓7月18日の厚労省ホームページに掲載の「全国クラスターマップ」(3月31日時点)/「随時更新」と書きながら、3月31日時点で更新がストップしている。

↓厚労省ホームページ/「国内の発生状況など」/この項目に、「全国クラスターマップ」が掲載。
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html#h2_1

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3月31日時点の26件から、医療機関・福祉施設16件のクラスター発生分は別紙としてホームページに掲載していた。しかし、ここにも、2月の和歌山県の例は、カウントに入っていない。残り10件は、表も作っていない。こんなデータ管理で、「クラスター潰し」が新型コロナウイルス対策の根幹になっているとは。

↓7月18日時点の厚労省ホームページの画像/全国クラスターマップ(3月31日時点)で掲載。