政府が全世帯に配付した布製マスク（アベノマスク）事業は、契約総額（5月29日時点の見込み）260億円のうち184億円が「購入費」で、残りの76億円が「事務費（配送費など）」とされているが、厚労省は内訳金額を明らかにしていないことが分かった。厚労省は「議員にも話していない。公表には調整が必要」としている。
厚労省は、5月13日時点で、「事務費（配送費など）」41億円の内訳を、14日の参議院・厚生労働委員会の質疑の中で公表した。その後、6月1日の菅義偉官房長官が、会見で、5月29日時点の契約総額（見込み）を公表したが、そのうち、「事務費（配送費など）」76億円の内訳を公表しなかった。事務費がわずか16日後で、35億円増え、76億円に膨れあがっている。
厚労省によると、5月29日時点の「事務費（配送費など）」には、次の項目が含まれているという。しかし、それぞれの金額について、厚労省は回答を拒否した。
①検品業者の委託費用
②袋詰め業者の委託費用（袋詰めや印刷費用など）
③日本郵便の委託費用
④それぞれの業者へアベノマスクが配達される配送費
⑤コールセンターの委託費用
公表された5月13日時点の「事務費（配送費など）」は、①検品費用が約8億円、②袋詰め費用（印刷含む）が約19億円、③郵送費用が約14億円、⑤コールセンターなどの経費が約6000万円、だった。（上記④の「それぞれの業者へアベノマスクが配達される配送費」が含まれているのかは不明）
16日後の5月29日時点で、各項目の経費がどれぐらい増加したのか、金額が公表されていないのでわからない。
菅義偉官房長官は6月1日の会見で、260億円は、5月29日時点の見込み金額であるとした。厚労省は、追加申込みや未配達分の申込みがまだ続いているので、袋詰め費用（②）、日本郵便の郵送費用（③）、コールセンターの費用（⑤）などが、今後も継続して計上されるとしている。6月28日時点では、事業が完了し精算しないと、最終的な経費はわからない。希望者へのアベノマスク追加配布を、いつまで続けるのか、厚労省は期限を明確に示していない。
菅官房長官は、6月25日の会見で「日本郵便から厚労省へ、6月20日までに全ての配布を完了したと報告を受けた」と話した。全戸配布の結果余ったアベノマスクは、メーカーから、検品業者や袋詰め業者を経由して日本郵便に至るまでの、どこにどれだけあるのか、厚労省は取材で明らかにしなかった。
厚労省は、残ったアベノマスクを、そのまま追加注文した世帯に回すのではなく、「袋詰めし直す」可能性に言及している。つまり、袋詰め業者へ、残った「アベノマスク」を持ち込み、袋詰めし直し、そのまま希望者宅へ郵送する計画があるという。
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/
↓厚労省ホームページ／令和2年度補正予算案（参考資料）から
厚労省の資料を参考にすると、76億円の「事務費（配送費など）」は、日本郵便への配送費と、日本郵便から全世帯への郵送費ということになります。76億円の配送費？？と仰天したウオッチドッグ記者は、厚労省へ取材して、76億円の中身を確認したというわけです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/cloth_mask_qa_.html
残ったアベノマスクを、個別に追加配布なんてしないで、47都道府県に分配して、後は、地方自治体の裁量に任せたほうがカネがかからないと思いますけどねぇ。
↓2020年6月1日の菅義偉官房長官の記者会見／8分30秒頃から、アベノマスク関連の質疑応答。
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202006/1_a.html
↓この会見の後に、各社が、調達費184億円＋配送費など76億円の計260億円の契約総額について報道した。2020年6月1日付・テレ朝news
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000185228.html
↓2020年6月25日の「6月20日までに全ての配布を完了したと報告を受けた」とした菅官房長官の会見を受け、各社報道した。6月25日付の毎日新聞の報道では、事業費260億円としているが、まだ見込みでしかない。
https://mainichi.jp/articles/20200625/k00/00m/010/364000c
