政府の肝いり政策、布製マスク(アベノマスク)事業は、全世帯への配布(6月20日で配布完了し、追加申込みを受付中)と、介護施設などへ配布する分とを合わせ、計886億円の巨額予算であることがわかった。厚労省は2019年度中に、予備費から30億円を計上し、アベノマスクを介護施設などへ約2,000万枚を先行配布した。さらに、2020年度は補正予算から390億円を計上し、さらに1億3,000万枚を介護施設などへ、必要性を確認しないまま、配布するとしている。

菅義偉官房長官が6月1日の会見で、全戸配布のアベノマスクの契約総額(見込み)が「260億円」であると発言すると、一部の報道機関が、「当初の予算466億円より圧縮された」と報道した。しかし、この会見の契約金額はあくまで、5月29日時点の見込み金額を指している。追加申込み分や諸経費の精算が完了しない時点で、260億円へ「圧縮した」と報じたのは、時期尚早と言える。厚労省は、ウオッチドッグの取材に対して「(会見で菅長官は)圧縮したとは言っていない」と話している。

6月下旬から、介護施設などへ順次配布されるアベノマスク事業は、各施設での必要性には関係なく、施設の職員や利用者数を基に、厚労省が配分数を算出する。厚労省から各都道府県宛に送付された6月23日付の事務連絡によると、各施設が必要としているかどうかは問わず、送付先リストを作成し、日本郵便の配達網で配布するという。全戸配布の専用コールセンターとは別に、介護施設などの専用コールセンターも設置し、外部へ業務委託している。

介護施設などへのアベノマスク事業も、全戸配付のアベノマスク事業と同様に、いくつもの業者へ委託し、手間と時間と経費が跳ね上がる可能性がある。

先行配布された介護施設などへのアベノマスクをめぐっては、「サイズが小さくて使いづらい」などの不満の声が利用者から出ていたことを、4月に各社が報道していた。厚労省マスク班によると、これから介護施設などへ配布されるアベノマスク1億3,000万枚も、既に全世帯へ配布された給食マスク風とほぼ同じ形状だと話している。厚労省マスク班は、メーカーから寄せられたアベノマスクのサンプルを確認したとも話している。

↓介護施設などへのアベノマスク事業(390億円)/1億5,000万枚

↓全世帯配布へのアベノマスク事業(補正予算233億円+予備費233億円)/1億2,600万枚

↓2020年4月15日付・毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200415/k00/00m/040/188000c

↓参照記事:2020年6月16日付・東洋経済オンラインより(画像は一部)
https://toyokeizai.net/articles/-/356842

↓2020年6月23日の厚労省から各都道府県宛の事務連絡/布製マスク配布事業/厚労省だけでなく、内閣府や、文部科学省も連名/日本郵便の配達網より配布することや、コールセンター設置にも言及している。