ニュースサイト「ハンター」が鹿児島県警により、2024年4月8日に事務所が強制捜査を受けて、パソコンや携帯電話などが押収された。この問題で、2023年10月20日と25日に「ハンター」が、県警の不当捜査の証拠となる内部情報の資料を報道していたことがわかった。

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ウオッチドッグ記者

複雑な内容ですが、要はこういうことです。

2021年9月、新型コロナ療養施設で、医師会の男性職員(当時)により、性被害にあった女性スタッフの告訴状を、2022年1月に受理したのが鹿児島中央署でした。

●医師会の男性職員(当時)を強制性交の被疑者としての「取り調べ」

中央署は、医師会の男性職員(2022年10月末に医師会を退職)を、2022年12月2日から強制性交の「被疑者」として7回、強行犯係が「取り調べ」をした。

ここからが驚くこと。

性被害者(女性)が告訴したのは2022年1月で、中央署が受理した。4か月後の5月に、被疑者である医師会の男性職員(当時)は、被害女性の関係者(所属先?)に対して、「名誉棄損」で告訴した。男性職員(当時)の告訴は、本来は西署の管轄だったが、上層部からの指示で中央署が受理した。

被疑者と被害者が同じ人物で、その2つの相反する内容を、中央署のみで捜査するというやり方。なおかつ、中央署には、男性職員の父親まで警察官として勤務していた(2023年3月まで)というから、あり得ないことだらけだったと言える。

■医師会の男性職員(当時)「名誉棄損の

中央署は医師会の職員だった男性(2022年10月末医師会を退職)を、2023年1月28日から名誉棄損の「被害者」として3回、強行犯係が「聴取」した。

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詳細は「ハンター」の記事に書かれていますが、中央署では、2023年1月28日と2月24日に、この男性を「被疑者」そして「被害者」として、同日に「取り調べ」と「聴取」をするという、茶番が繰り広げられていました。

「ハンター」の記事に、この件に関する警察OBの話が載っていました。真っ当な警察官が一連の経緯を知ったら、首を傾げるような捜査状況だったということですね。「鹿児島県以外ありえない」なんて言われているし…。あらら。

調べ官の目の前に、被疑者であって被害者でもある男性Sが座っているという滑稽な状況―― ある警察幹部OBは、次のように話している。
「鹿児島以外の都道府県警ではあり得ない話だ。まず、被疑者の父親だという現役の警部補が勤務している鹿児島中央警察署が事件を扱うということ自体が問題。その時点で捜査の公平性を欠いている。事件発覚前の段階で、被疑者と被疑者の父親が鹿児島中央署で都合のいい話をしていたというのが事実なら、これも大問題。事件の初動を歪めた可能性が高く、見過ごした中央署の幹部は責任をとるべきだろう。取り調べ中の被疑者が、同時に被害者として聴取されていたというのも違法ではないが、聞いたことがない異常な状態。一連の捜査指揮を執ったのは、おそらく同一人物で、何らかの思惑があると考えてよさそうだ」

2023年10月20日付「ハンター」より

「告訴・告発事件簿処理一覧表」からみえるのは、鹿児島県警がいかに被害者を蔑ろにしていたかという実態。次回は、ここに焦点を当てて解説します。