ウオッチドッグ記者は、鹿児島県警によるニュースサイト「ハンター」への強制捜査についての報道が明るみになった6月頃から各社の報道をウオッチしていた。数ある報道の中で、鹿児島県の地元紙(地方紙)である南日本新聞の報道内容を特に疑問に思った。そこで、過去に、毎日新聞社、共同通信社で記者をしていた「ウオッチドッグ」デスクに、地元紙の報道のあり方について疑問を投げかけた。

なぜ、南日本新聞は報道の中で、ニュースサイト「ハンター」という固有名詞を出さず、「ウェブメディア」とだけしか書いていないのか? ひょっとして南日本新聞の読者に、「ハンター」が鹿児島県警の問題を独自の取材して、追及していることを知らせたくなかったのかも?

南日本新聞は、「ウェブメディア」とだけ!

2024年3月15日付・南日本新聞   https://373news.com/_news/storyid/191798/
2024年4月8日付・南日本新聞    https://373news.com/_news/storyid/193072/
2024年4月26日付・南日本新聞     https://373news.com/_news/storyid/193961/
2024年6月8日付・南日本新聞      https://373news.com/_news/storyid/196102/
2024年6月15日付・南日本新聞      https://373news.com/_news/storyid/196427/
2024年6月28日付・南日本新聞       https://373news.com/_news/storyid/197180/
ウオッチドッグ記者

南日本新聞の報道に対して、違和感はいろいろありますが、ニュースサイト「ハンター」の名前を記事に書いてないんですよ。なぜ、出さないのでしょうか。他の報道機関は、「ハンター」の名前をバンバン出していたじゃないですか。南日本新聞だけが、「ウェブメディア」という表現にしています。固有名詞を出さない報道が続いていますが、「知っているじゃん」と思うわけ。「ハンター」側が南日本新聞に対して「組織名を出さないでほしい」とお願いしているわけじゃないですよね。他の報道機関の取材には応じているのですから。なぜ、出さなかったのか。そこですよね。

ウオッチドッグ デスク

南日本新聞は、「一部ウェブメディアが…」などと報じていますが、それが「ハンター」のことだと、記事を書いている記者本人はわかっているわけです。しかし、読者には「ハンター」だと伝えない。あえて「ハンター」という名称は伏せる。確かに変ですよね。仮に「ハンター」の記事内容に問題があるとしても、引き合いに出すなら固有名詞を出すべきです。

そもそも「ウェブメディア」は「ハンター」だけではありません。私たちの「ウオッチドッグ」も「ウェブメディア」の1つに位置づけられます。例えば、記事の中で、「銀行」と書いただけでは、どの銀行なのか、読者にはわかりません。それと同じことです。記事自体が不正確ですし、読者に対しては不親切です。

「ハンター」はこう報道しているけど、自分(南日本新聞)の取材によればこうだって書けばいいわけですよ。明らかに「ハンター」のことを指しているのに、「ウェブメディア」とだけしか表現しない。どこの誰が運営しているかわからないような書き方をすること自体、意図的だと思いますね。南日本新聞のホームページを検索(7月12日時点)しても、「ハンター」という固有名詞はどこにも出てきませんでした。あったら教えてほしいです。

まるで「怪しいサイト」のような印象を与えてしまいます。記事の中で、「誰が」に当たる部分を示さないと、事実を伝えているとは言えません。独自の報道を果敢に行っている「ハンター」に対する敬意が感じられません。むしろ見下している感じさえします。まるで「オレたちは大新聞だ。お前らは知名度の低いネットメディアだ。素性もわからん」と言わんばかりです。

「ハンター」の一連の報道を読むと、地道に調査していたのがわかるわけです。鹿児島県警の不祥事を丹念に掘り起こし、報道し続けています。南日本新聞は昨年まで、知らんぷりを続けてきました。

推測ですけど、南日本新聞が「ハンター」という固有名詞を出した場合、南日本新聞の読者はこう思うのではないでしょうか。「地元紙のあんたらは何していたのか。これだけの調査報道ができなかったのか」と。検索すれば「ハンター」の報道は見つかります。そうすると、市民の批判の矛先は、鹿児島県警だけでなく、地元紙の南日本新聞にも向くでしょう。「私たちは県警の問題を知らなかった。なぜ、取材しなかったのか。報道しなかったのか」と。そうなると、読者離れが起きかねません。自己保身でしょうか。

かつて新聞・テレビは、週刊誌が独自に報じた場合、「一部週刊誌によると…」などと、固有名詞を出していませんでした。「週刊文春の報道によると…」というように、週刊誌の名称を報じるようになったのは、比較的最近のことです。南日本新聞は未だに「一部ウェブメディアが…」としています。

ちなみに、全国紙の4紙の報道を調べましたら、全てニュースサイト「ハンター」の名前を出してました。南日本新聞だけが、変です。

全国紙はハンターの名前を掲載!

2024年6月21日付・産経新聞