福岡市を拠点としている調査報道サイト「ハンター」が鹿児島県警から強制捜査を受けた問題を、ウオッチドッグは解説している。ことの発端は、鹿児島県医師会の男性職員(当時)が新型コロナ療養施設で起こした女性スタッフ(看護師)に対するわいせつ事件だった。問題を起こした男性職員を療養施設へ派遣したのは県医師会。自ら調査を行い、後日、調査結果を公表した。しかし、県医師会による調査報告は、お粗末な内容だった。「ハンター」が性被害を受けた女性や関係者などへ取材してつかんだ内容とは、あまりにも食い違っていた。

「ハンター」は、鹿児島県医師会の池田琢哉会長(当時)や上層部の発言に注目。池田会長に取材した際の発言や、2022年2月に行われた医師会上層部が参加する会議で、常任理事らが漏らした発言を、記事で取り上げている。2023年3月10日付、3月16日付などの「ハンター」の記事を読むと、コロナ療養施設での男性職員の不適切な行為について、池田会長らは、こんなことを話していたらしい。ウオッチドッグは、「ハンター」の記事から、彼らの“仰天”発言をピックアップした。
郡医師会長、わいせつ事案「よくあること」「人騒がせ」|鹿児島県医師会に問われる規範意識(4)
女性の性被害訴え後、鹿児島県医師会(上層部)による発言ピックアップ

(当時)
(鹿児島)県の医師会に責任があるんだっていうことはおかしいと思うんだけど。

そういうことはよくあること。驚いたが一瞬。

合意の上での性交渉。

新聞にでたときも話題にならなかった。

いきなり強制性交だと怒鳴り込んでくる〇〇〇(女性スタッフが勤務する法人の代表者)も人騒がせ。
2022年5月18日付の「ハンター」の記事は、次のような公文書を公開している。
鹿児島県医師会の池田会長(当時)は、2022年2月の鹿児島県医師会・上層部による会議後、「医師会職員(A)について、いろいろな噂話が流れていることから(鹿児島)県に現状を説明に伺った」。そして、「鹿児島県くらし健康保険部」へ現れ、「強制的であったのかどうか」、「推測ではなく、事実を明確にしたい」と池田会長が県職員に話をした。

ていうか、池田会長は「推測でなく事実を明確にしたい」と言っておきながら、相手方(被害女性)の話をまだ聞いていない段階で、県の担当職員に対して、「強制的であったかどうか」と話し、自分の推測を伝えている。その人権意識のなさ。一般人の感覚とはズレまくっている。
「大丈夫か。この会長」って、「ハンター」で公開された文書を読んでウオッチドッグ記者は思った。
さすがに、池田会長の弁明のような報告に対し、県の担当職員も呆れたのか、「そのような行為が宿泊療養施設内で行われたことについて、憤っている。問題意識がどうかとの疑問もある」と、医師会側へ意見している。
踏みにじられた性被害女性の人権|問われる鹿児島県医師会長の姿勢
被害女性の気持ちを蔑ろにした一方的な鹿児島県医師会の主張と行動に対して、調査報道サイト「ハンター」は、被害女性にも直接会って取材し、鹿児島県医師会や県庁などに取材攻勢をかけて、批判的な報道を続けた。
次回は、鹿児島県医師会と鹿児島県警のただならぬ関係性を追及した、「ハンター」の報道を解説する。