大津市自治連合会が、「年末警戒警察激励品」として、2016年12月にカップ麺180個を購入していたことが、支出伝票から明らかになった。大津署と大津北署は、情報公開請求に対しては、「受け取ったとわかる文書はない」としていた。しかし同時に、滋賀県警の県民センター所長の廣部寿氏は、口頭で「文書はないが、受け取った事実はあった」と説明した。

いったいどういうことなのか。受け取った経緯の詳細を、記者が質問すると、曖昧な説明に終始した。記者の疑念は増すばかりだった。

おかしいと思う点を、取材から振り返る。
大津市自治連合会が、カップ麵180個を購入したのは、2016年12月1日。

記者がこの支出伝票を入手したのは、1年後の2017年12月8日。2016年以前に、大津市自治連合会が、警察へ激励品を渡したという支出伝票は、過去の実績報告書で見たことがない。ということは、2016年の年末だけ、警察へ激励品を渡していたことになる。

なぜか?

そもそも、公務員の職務として歳末警戒にあたる警察官に、激励品を渡す必要があるのか。大津市自治連合会は、自治会員の会費と大津市の補助金で運営している自治会の上部組織だ。「お仕事ご苦労さまという感謝の気持ちを、廉価な品物で届けただけだから、そんな堅いことを言うな」と思う向きもあるだろう。

しかし、よく考えてみよう。
組織犯罪や、詐欺事件などを捜査する警察官が、誰彼かまわず、物品を受け取っていたら…。個人・団体、組織には、いろんな人がいて、いろんなことが起きる。物品を受け取る警察官の倫理の欠如を疑わざるえない。

そこで、入手した伝票を基に、記者は、12月9日に大津警察署に電話で確認をした。大津警察署の電話応対した署員は、「1年以上の前のことでよくわからない」と答えていた。次に、滋賀県警の警務課にも電話で確認した。「受け取ることはないと思うが、情報公開請求して確認してほしい」ということであった。

記者は情報公開請求をした。それまでの警察署の各課の対応から「受け取ってはいないだろう」と思っていた。では、警察署が受け取っていないのなら、カップ麵180個は、どこに消えたのか。

情報公開請求の決定通知書では、「文書不存在」だった。「文書がないなら、受け取っていないことになりますね?」という記者の質問に、警察県民センターの廣部所長は、「口頭で補足します。文書はないが、受け取った事実はあります」と説明した。

激励品としてカップ麵を受け取っていたというのに、記録をとっていない? 警察官が、物品を受け取っていながら、訪問者の来署記録も書かず、受領書も書かず、そのままカップ麵を受け取り、歳末に麵をすすっていたというのか。

あきれた話に、記者が詳細の説明を求めた。

「いつ、誰が、激励品をいくつ、どのように、渡したのか?」という質問である。当初、2日後に返事をするという約束であったが、引き延ばされ、12月27日になり、年明けにしてほしいということを電話で告げられた。

記録がなく、記憶だけの話だ。受け取ったという人物に記憶を確認すればいいのではないか。まったくもって、不可思議な対応と言わざるえない。それだけでなく、大津署に直接、電話で取材すると、四谷尚佳副署長から「こちらへかけてくるな」と怒鳴られる始末だった。どうして、質問しただけで怒鳴られるのか。

年明けに、廣部所長から電話が来て、再度の説明を受けた。

大津署が100個ほど、大津北署が80個ほど受け取ったという。支出伝票に記載された合計180個とぴったり。記者の情報公開請求書には、激励品の数は記載していない。滋賀県警は、個数は知らなかったはず。記録は1枚もないのに、1年以上前に受け取ったカップ麺の正確な数を、2つの署の署員は、記憶していたということだろうか。

県警は、カップ麺180個(12個入り15箱)を受け取ったのか? それとも、受け取っていなかったのか?

読者の皆さんは、どう推理しますか?