◆【問題点①】25学区の支所機能は激減

11の基幹支所(葛川、大石、和邇、堅田、坂本、逢坂、平野、膳所、晴嵐、瀬田、瀬田北)の内、葛川と大石以外の9学区の支所の窓口業務が、午前9時から午後5時までとしている。基幹支所でない25学区の窓口業務は、9時から午後3時に限られる。さらに、25学区の支所では、公共料金の取り扱いを廃止し、出生届や転入届、印鑑登録などの届け出もできない。25学区の利用者は、明らかに不便を強いられる。(2019年2月8日20時に、一部修正)

◆【問題点②】コンビニ活用を過度に強調

証明書発行など、コンビニエンスストアの活用が過度に強調されている。各種の手続きができるとしているが、コンビニの場所や数さえ、市は把握していない。高齢化が著しい上、コンビニが近くになく、交通アクセスが不便な山中比叡平などの地域はどうなるのか。今後の対応を考慮しなければならない地域すら、基幹支所から外している。現在、コンビニがある場所でも、店舗が存在し続けるとは限らない。また、コンビニに対して市がこうした業務を委託する経費が全くも示されていない。コンビニ任せはタダではない。

◆【問題点③】従来の公民館活動の検証なし

コミュニティセンターは、まちづくりの拠点になるとして、地域住民が気軽に集い、学べる場所など4つのイメージをあげている。しかし「従来の公民館活動ではできないことなのか」という、意見交換会で出た疑問の声について、検証した資料はない。

◆【問題点④】コミュニティセンターの事業内容があいまい

コミュニティセンターは、公民館と違い、法律に基づかない施設となる。イメージとして、自治会館を巨大化したようなもの。公民館の運営は教育委員会が担うが、コミュニティセンターは、自治連合会などが中心となった新たな地域自治組織「まちづくり協議会」が担う。ところが、コミュニティセンターの事業は「地域のまちづくりに関すること」や「コミュニティ活動の促進に関すること」など、あいまいな内容が多い。公民館の事業内容にある「公共的利用」は、コミュニティセンターの方では消えている。

 ◆【問題点⑤】カネで協議会の設立を急がせる/「作らない」選択肢はなし

2023年度までに全ての学区でまちづくり協議会を設置させるため、最高で100万円の補助金を与える。つまり、コミュニティセンター化を進める。例えば、2020年度からまちづくり協議会を設立した場合は60万円になり、2018年度から設立した場合は100万円になる。運営支援補助金は2022年度までしか出さないとしている。そして、既存の各種団体への補助金を全部まとめ、より自由度の高い交付金に移行」するという。逆に、まちづくり協議会を「作らない」という選択肢は示していない。設立支援補助金と運営支援補助金とは、どのような目的に使われるのか、そして、誰に渡されるのか、肝心なポイントが示されていない。

◆【問題点⑥】「まちづくり計画書」は誰が作成?

新たな地域自治組織「まちづくり協議会」は、自治連合会を含めた各種団体が、地域全体で決める「まちづくり計画書」を作成し、実施するという。計画書を作成する上で重要なのはプロセスだが、具体的に誰が責任を担うのか、全く見えない。社会福祉法に規定されている「大津市地域福祉計画」すら、住民にほとんど周知されていないのが実態だ。住民任せのまちづくり計画書では、さらに形骸化したものになる可能性がある。

◆【問題点⑦】アンケート結果を不公正に扱う

意見交換会のアンケート結果を不公正に取り扱っている。7月16日の市民22人と、9月1日の市民28人は、大津市全体の事業レビューに参加した市民らである。市の選抜した市民らが参加した意見と、規模が格段に大きい、自由参加の市民意見交換会の意見を、同じ大きさのグラフにして、並べている。自由参加の市民意見交換会では、3会場で62%、36学区で76%の市民が「現行のままでよい」という意見だった。こうしたデータの不公正な取り扱いを、市はこれまでも繰り返してきており、そのたびにウオッチドッグが批判している。

【問題点⑧】防災機能はゼロ回答

意見交換会で多くの質問や意見が出ていた「防災機能について」は、わずか2ページしか説明がない。それも、各学区の意見交換会で出た疑問に答えたものではなく、初動支所班と自主防災組織が「連携(顔の見える関係づくり)」としか書かれていない。ほぼゼロ回答になっている。連携するにも、午前9時から午後3時までしか市職員が支所にいないのに、顔の見える関係づくりがどうできるのか、実現可能性に疑問符が付く。

◆【問題点⑨】協議会への交付金額は記載なし

コストシミュレーションでは、市民センター統廃合を進めると年間削減総額が「6億4,800万円」になると、アピールしている。大津市の総予算(年間)は、2,224億円(2018年度)。約2,200億円の予算の中で、6億円の削減をするため、市民サービスの拠点である市民センターの統廃合を進めるとしている。2018年度の総予算は、前年度比で2.8%増加している。コストシミュレーションには、自治連合会を主体とした「まちづくり協議会」に支出する今後の交付金の総額については、記載がない。

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