“研修”と称して毎年、温泉宿泊旅行を繰り返してきた大津市自治連合会が、2018年度は「日帰り」に縮小していたことが分かった。行き先が県内にとどまるのも異例。大津市の職員は従来通り参加したが、貸し切りバスには同乗せず、現地で合流する形に切り替えた。自治会の加入率の低下に歯止めがかからない中、市民やメディア、オンブズマンからの批判に耐えられず、温泉宿泊を断念したとみられる。

日帰りの研修が行われたのは、昨年11月21日(水曜日)。全36学区で行われていた、市民センターのあり方検討の意見交換会が終わってから、3日後のことだった。大津市自治協働課の職員の話によると、研修先は東近江市で、目的はまちづくり協議会を視察するためだという。昨年度までは市職員2人が全行程に同行していたが、今回は自治連がチャーターしたバスには同乗せず、現地で待ち合わせしたとしている。

ウオッチドッグの取材に対して、担当職員は「東近江市のまちづくり協議会が良い取り組みをしていると聞いたので視察先とした」と説明している。「日帰りの温泉施設には、寄らなかったのか?」という質問には、「バスに同乗していないので、断定はできないが、温泉施設には寄っていないと思う」と答えている。

大津市自治連合会は毎年、市職員2人を現地でのガイド役として添乗させ、1泊2日の“研修”を行ってきた。行き先は温泉地が多く、地元でも有名なホテルに泊まることが習わしとなっていた。旅行の費用は、市の補助金と自治会費から充てられてきた。市職員も公務として随行していた。過去から続くこうした慣例は、メディアやオンブズマンが、何度も批判してきた。

■自治連の温泉宿泊“研修”旅行
1996年から2017年まで、大津市自治連合会と大津市の温泉旅行の記録をまとめた。1999年から2000年までは、滋賀報知新聞の過去の報道を参照した。行き先では石川県が15回のうち、5回と多かった。さらに、温泉地の名称を調査すると、全国的にも人気のある有名温泉地がずらりと並んでいることがわかった。

年度 随行の市職員数 日程 視察先 宿泊した温泉名 宿泊費用
1996年 3人 7月16-17日 石川県 片山津温泉
3人 11月6-7日 鳥取県 皆生温泉
1997年 2人 7月3-4日 三重県 不明
2人 10月21-22日 兵庫県 州本温泉
1998年 2人 6月25-26日 香川県 こんぴら温泉
2人 11月11-12日 石川県 粟津温泉
1999年 2人 7月6-7日 岐阜県 下呂温泉
2人 11月9-10日 石川県 和倉温泉
2000年 2人 7月7-8日 石川県 片山津温泉
2人 11月15-16日 石川県 山代温泉
2011年 不明 11月と2月 滋賀県 びわこ温泉 (資料不開示)
2012年 2人 7月12-13日 福井県 芦原温泉 (資料不開示)
2013年 2人 7月11-12日 和歌山市 和歌の浦温泉 100万円
2014年 2人 11月6-7日 京都府 (資料不開示) 100万円
2015年 2人 11月18−19日 三重、奈良、京都のどこか (資料不開示) 74万円
2016年 2人 11月14-15日 徳島県 月ヶ谷温泉 79万円
2017年 2人 11月6-7日 兵庫県 姫路市内の温泉ホテル 68万円

■大津WEB新報のしつこい報道

ウオッチドッグの前身、大津WEB新報は、毎年、繰り広げられる温泉地での“研修”を紹介する記事を掲載してきた。

♨2011年度、びわこ温泉「紅葉」で2回

♨2012年度、芦原温泉(福井県あわら市)

♨2013年度、和歌の浦温泉(和歌山市)

♨2015年度、行き先不明(どこかの温泉地)

♨2016年度、月ヶ谷温泉(徳島県)

♨2017年度、4つ星の温泉ホテル(兵庫県姫路市)

♨温泉地で“研修”、自治協働課長の見解


次のページでは、過去から続く大津市と大津市自治連合会の温泉旅行に対して、オンブズマンの批判コメントやメディアの報道を紹介する。

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