大津市政をチェックする役割の市議会は、「地区環境整備事業(迷惑料)」をどう捉えたのか。最初に巨額な迷惑料の問題を、市議会議員が問題として取り上げたのは、迷惑料の不適切な使途が明るみになり、市民やメディアの批判が渦巻いた年の2002年6月だった。それ以前は、全く取り上げていない。
「公平性の原則に反している」、「(迷惑料は)一時期的に処理するのが原則であって、将来的にいつまでも続くというものではない」と追及したのは、藤本一也議員だった。当時の山田豊三郎市長は、「市役所全体で深く反省をいたしております」、「恥ずかしい市役所の実態」、「緊張感を忘れずして市民の奉仕者としての道を誤ることのないように頑張っていきたい」などと、市議会で答弁している。
■14年前の市議会定例会
2002年6月11日・大津市議会会議録/質問者は、藤本一也議員(当時)
藤本一也議員(当時)が追及:「公平性の原則に反している」
藤本一也議員(当時)は、住民監査請求の報道を取り上げ「ずさんな補助事業」、「すべての住民に関係しない農業倉庫の解体工事を採択している」、「考えられないような現地調査」と断じている。
その上で、次のように当時の山田市長を質している。
「情報の公開と説明責任が大事であり、いつまでも続けていくことは市民の理解が得られない」「(迷惑料は)一時期的に処理するのが原則であって、将来的にいつまでも続くというものではない」
「明文化した協定書に基づき支払うべき」
「自治会への未加入世帯が増えている現状からいっても、地域イコール自治会ではなくなっている」「特定の地域に迷惑をかけているからその地域の自治会へ補助金を出すという考えは、公平性の原則に反している」
「今後は、情報の公開、市民が理解できる説明責任をさらに徹底していかなければならない」
山田豊三郎市長(当時)の答弁:「緊張感のない市役所と言われている。市役所全体で反省している」
「市役所全体で深く反省をいたしております」
「今後再びこのような、かような事件を起こさないことを全庁あげて反省し、防止の対策などを再点検いたした」
「緊張感のない市役所と言われている」
「恥ずかしい市役所の実態」
「緊張感を忘れずして市民の奉仕者としての道を誤ることのないように頑張っていきたい」
※左記の写真は、公金飲食が繰り返された「琵琶湖ホテル」近くにある山田豊三郎元市長の銅像。大津市議会OB会と大津市自治連合会が発起人となり、目片信前市長の時代の2011年に建立した。銅像の所有は、秘書課で、大津市の道路予定地に建立したため、路政課が管理している。
2002年6月市議会/藤本市議の質問全文
▼藤本一也議員(当時)の質問
今回も南部衛生プラント周辺の地区環境整備事業として、稲津農業組合の農業倉庫の解体工事に支出をされた補助金の問題で、5月2日に住民監査請求が出され、その調査の結果、補助申請の見積書に記載の倉庫の面積が実際の3倍になっていたことが判明をし、補助金の取り消しと返納を田上振興対策協議会に通知し、22日に約390万円の補助金が全額返納されました。まさにずさんな補助事業だと言わざるを得ません。補助金申請に対するきっちりとした書類審査や現地確認はできていたのですか。新聞報道では、担当職員が現地調査を行っていますが、図面を持たずに数値を確認する作業をしていないために、申請書の誤りに気づかなかったとなっています。考えられないような現地調査であります。この補助金の申請から返納に至るまでの経過とチェック体制の強化対策についてお伺いします。
今回の件では、田上振興対策協議会の申請により補助金を支出することですが、地区環境整備事業として地域のすべての住民に関係をしない農業倉庫の解体工事を採択されていますが、その見解をお伺いします。
また、このような地区環境整備事業は情報の公開と説明責任が大事であり、いつまでも続けていくことは市民の理解が得られません。所管する地区環境整備事業のあり方について見解をお伺いします。
あらゆる補助金のあり方については、抜本的な見直しと情報の公開、市民が理解をできる説明責任を求めてきました。地区環境整備事業についても一定の見直しが必要だと考えます。いわゆる迷惑施設が関係する地域住民の御理解により設置できており、その地域のまちづくりのために行政が市道の改良や河川の改修、公共施設等の整備を優先をして実施をするなど、地区環境整備事業として地域支援をすることは必要だと考えます。しかし、それらの地区環境整備事業では一時期的に処理するのが原則であって、将来的にいつまでも続くというものではありません。また、明文化した協定書に基づき支払うべきです。
一般廃棄物焼却場や最終処分場のある学区自治連合会や自治会に出している自治振興費は、覚書で別途協議をすると記しているだけで、支出を決めた文書や支出額を示した文書ではなく、事実上の迷惑料として夏祭りなどに使われています。自治会への未加入世帯が増えている現状からいっても、地域イコール自治会ではなくなっている、特定の地域に迷惑をかけているからその地域の自治会へ補助金を出すという考えは、公平性の原則に反したことになります。今後は、情報の公開、市民が理解できる説明責任をさらに徹底していかねばなりません。地区環境整備事業に関する補助金のあり方について見解をお伺いします。
2002年6月市議会/山田豊三郎 市長の答弁全文
▼山田豊三郎市長(当時)の答弁
藤本議員の御質問にお答え申し上げます。
今回の大津市の環境、福祉保健部を中心とする不祥事件、そしてまた今担当者から御報告いたしましたが、いろいろと稲津の町の自治会、関係者に対して交付してました建物の損壊に伴います環境整備事業についての見積の間違いと、いろんな問題につきまして御指摘を受けまして、市役所全体が深く反省をいたしております。そのことについては昨日からの質問に対しても私からお答えいたしたとおりでございます。今後再びこのような、かような事件を起こさないようにということを全庁員挙げて反省し、またこれが防止の対策等について役所の機構、人事、その他についてすべて再点検をいたしまして、緊張感のない市役所と言われている、この恥ずかしい市役所の実態を私は本当に緊張感が充実し、しかも各施策の遂行が本当に各それぞれの担当者の責任感を持って体当たりしていくという、緊張感を忘れずして市民の奉仕者としての道を誤ることのないように頑張っていきたいと、このように存じますので、今後ともよろしく御指導を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。