大津市は市民センター統廃合問題の「実施案」を2月1日に公表したが、その直前に行われた庁内検討委員会で、コンビニ利用に伴う経費(市が負担する手数料)増加や、本庁へ回る仕事の増大など、16事業で影響が出ると、所属長らが問題を指摘していたことが分かった。市は、こうしたマイナス面を把握してながら、「実施案」では一切触れず、見切り発車した。記者会見で越直美市長は、現場の懸念を紹介せず、経費削減などのプラス面ばかりを強調していた。

1月24日に開かれた「第4回市民センター機能等の在り方検討委員会」には、鷲見徳彦副市長や井上佳子市民部長をはじめ各部署の課長ら19人が出席した。

配布された資料の影響調査では、事前に集約したアンケートの結果として、支所での公金収納を廃止した場合、16事業に何らかの影響が出るとしている。特に影響がないと考えられる事業は、4事業しかなかった。
主な影響内容として、「収納率の低下や誤納の増加」、「本庁における事務の増大」、「本庁への来庁者増加による受付スペースの不足」、「コンビニ収納の件数増に伴う手数料の増加」が指摘された。今後の課題として、「コンビニ収納やキャッシュレス決済へ対応するためのシステム改修経費や手数料負担」、「本庁の窓口及び業務スペース、人員の確保」を取り上げている。

こうした課題を残したまま、越市長が「実施案」を公表したことについて、市民センター改革推進室は、「確かにコンビニ収納に伴う手数料の増加はありえる。しかし、今後、自宅にいて、手続きができるようクレジットカードを使ったキャッシュレスなどを勧めていきたい」とコメントした。しかし、クレジットカードを持たない高齢者には、どう対応するのかについて、具体的な対応策を示さなかった。

※(注)支所の収納分かどうかは、水道料金のデータしかわからない。税や保険などは、支所収納と銀行収納分が合算した金額になっている。そのため、3事業については、水道料金の比率を元に、試算しているだけで実数ではないというのが市民センター改革推進室の説明であった。