大津市の市民センター統廃合問題をめぐり、越直美市長が「実施案」を市議会の正副議長へ説明する約2週間前に、自民党(湖誠会)の竹内照夫幹事長と協議の予定を入れていたことが、市が作成した内部文書から明らかになった。越市長は、支所長や各部の部長ら、実務関係者との協議を蔑ろにする一方、外部のコンサルタント会社に依存し、湖誠会(自民党)の竹内照夫幹事長とは頻繁に協議するなど、“爆走”ぶりが浮き彫りになった。

情報公開制度で入手した公文書は、「市民センター機能等のあり方『よりよい案』の作成・公表スケジュール」と、「市長、副市長の公務日程表(2019年1月分)」。「作成・公表スケジュール」の1月16日の予定に、「竹内幹事長協議」という記載があった。市は1月31日に、市議会の正副議長へ「実施案」を説明したとの記載もある。

湖誠会の竹内幹事長を重用

越直美市長や鷲見徳彦副市長が、市民センター統廃合問題の庁内協議が行われる前後に、自民党(湖誠会)の竹内照夫幹事長と面談を重ねていた。


1月23日(水)
午前10時〜 越市長が竹内幹事長と特別応接室で面談

午後2時〜 鷲見副市長が自治協働課と「市民センター機能等のあり方検討委員会」のレク。

1月24日(木)
午前9時半〜 鷲見副市長が竹内幹事長と面談。(市民センター改革推進室が同席しており、市民センターの「実施案」について何らかの協議がされたと考えられる)
 
午後3時〜 災害対策室で、鷲見副市長が出席し、「市民センター」についての庁内検討委員会。

1月25日(金)
午前9時半 再び、越市長が竹内幹事長と面談。

1月31日(木)
午前11時 鷲見副市長が正副議長へ「実施案」を説明。

2月1日(金)
「実施案」について部長会で説明。

【公文書】市長・副市長の公務日程表(2019年1月分)


  市長予定:1月23日10時「湖誠会・竹内幹事長面談/秘書課/特別応接室」
副市長:1月23日14時「市民センター機能等の在り方検討委員会レク」
 副市長予定:1月24日9時半「湖誠会 竹内幹事長面談/市民センター改革推進室/特別応接室」
           15時「市民センター機能等の在り方検討委員会/自治協働課/副市長室」

市長予定:1月25日9時半「湖誠会 竹内幹事長面談/秘書課/特別応接室」


  
副市長予定:1月31日11時「正副議長(市民センターよりよい案)説明/議長室

コンサル重視/庁内協議も形骸化

全36学区で市民の意見を聞いて、庁内で検討するはずだったのに、大津市はコンサルタント会社に「よりよい案」の作成を業務委託していた。市議会を軽視するだけでなく、庁内協議もすっ飛ばしていたことが明らかになった。

業者との打ち合わせ結果は、市長と副市長らが出席の二役協議までに、越市長へ伝えられた。その二役協議で決めた内容を、庁内検討委員会が追認する形の流れとなっており、市議会だけでなく、庁内会議まで形骸化していることがわかる。

【公文書】「市民センター機能等のあり方『よりよい案』の作成・公表スケジュール」

11月2日
人事課がコンサルタント会社の富士通総研と、530万円の業務締結

11月12日〜15日
富士通総研が6支所の業務量の調査
 
11月27日
「人員配置案の作成指示」のため、業者と2度目の打ち合わせ

12月1日、2日
人員配置案を確認するため、業者と3度目の打ち合わせ

1月11日
「業務量の最終納品」

■取材の背景

ウオッチドッグがここ数年、力を入れていた調査報道のひとつに、大津市の「市民センター統廃合問題」がある。計画自体は、2014年から「支所を7つにして」という越直美市長の鶴の一声で進んでいた。しかし、越市長やこの問題を担当する市民部からは、さまざまな問題を大津市民に真摯に伝えようとする姿勢が見られなかった。

そして、計画から5年後にようやく36学区において市民に対する説明会を開催した。2018年10月と11月に、駆け足で説明会を行った。地域実情を踏まえて住民らの声を聞き、じっくり協議することもなかった。終了して2か月足らずの2019年2月1日に、越市長は「よりよい案ができた」と、「実施案」を関係機関に公表した。

市が作成したスケジュール表を見たウオッチドッグ記者は、市民センター改革推進室へ📞取材で確認した。3月20日のことだった。

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なぜ、市議会議長の説明より先に、特定会派の幹事長と協議したのですか?
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当初は、市議会での実施案の公表の仕方を竹内幹事長と協議する予定でした。しかし、協議しませんでした。
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竹内幹事長が、市議会の窓口になっているのですか?公表の仕方を協議するとしたら、市議会事務局ではないですか?
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竹内幹事長は、市議会の窓口ではないです。課内で市議会への公表の仕方をどうするか話しあった時、予定としてたまたま竹内幹事長の名前を書いただけです。


↓市民センター機能等のあり方「実施案」公表までの動き/取材で入手した数々の資料から、関係機関のそれぞれの動きを入れ、意志決定の流れを矢印に色分けした。

■取材を終えて

 ウオッチドッグの取材に対して、市民センター改革推進室は、「予定として書いたが協議していない」と釈明した。協議したかどうか問題ではなく、市議会の議長、副議長への説明の前に、特定会派の幹事長とだけ「市民センター機能等のあり方」を担当課が協議する予定を入れるのは変だ。「根回し頼みまっせ」と依頼しようとしか思えない。こんなことが常態化しているのなら、大津市議会の存在意義がない。議会の本来の機能が働いていない。