大津市の市民センター統廃合問題で、意見交換会が全36学区で昨年10月と11月に行われたが、少なくとも10学区で、開催前に案内文を全戸配布も組回覧もしていなかったことが、内部資料から明らかになった。こうした学区では、当日の参加者数が極端に少なく、8学区で14人以下で、最少は5人にとどまった。市全体で人口1,000人当たり4・6人しか参加していない。自治会加入世帯数に比べても割合が低い。昨年秋の「広報おおつ」でも、市民センター改革推進室から、意見交換会を周知させるお知らせはなかった。
市民センター改革推進室は、昨年9月7日の大津市自治連合会の定例会で、会長らへ「周知の協力依頼をした」と話している。しかし、結果的に、会長や幹部の学区を中心に、10学区では「特に何も周知していない」状態だった。ところが、市は何らの指導も対策も講じなかった。
組回覧などで開催を周知したと市へ報告しているものの、参加者数が極端に少ない学区もあった。例えば、組回覧をしたという南郷学区は、人口約9700人だが、当日参加したのは12人だった。
大津市は自治連と自治会に対し、市政協力や広報物配布などの謝礼として、年間計約1億円の報償金を支払っている。市は、各学区で意見交換会を始めた第2週までに、開催を周知していない学区では参加者数が少ないという状況を知りながら、全く手を打たなかった。例えば、膳所学区は第3週目の10月28日に開催されているが、自治会員世帯数4,848に対し、当日の参加者はわずか5人だった。
ウオッチドッグが情報公開請求で入手したのは、「市民センター機能等の在り方検討に係る学区意見交換会開催結果」。全36学区での開催日、開催場所、開催時刻などのほか、「周知状況」と「当日参加者数」が、一覧表になっている。
ウオッチドッグはこれらに、自治会加入世帯数や人口(2018年4月1日現在)を加え、当日参加者数で並べ替えてみた(以下の図表参照)。その結果、参加者数が少ない順で、下から9学区のうち8学区までが、<何もせず>の学区だったことがわかった。自治会加入世帯数や人口との割合を表す「参加率」でも低い傾向であることが裏付けられた。
ウオッチドッグは、2018年度の市自治連合会長の谷正男氏の地元である、坂本学区に注目した。自治会加入世帯数が2,232で、人口は1万人を超えている。ところが、意見交換会の当日に参加したのは22人だった。周知状況をみると、案内文を全戸配布したり、組回覧していなかった。市の自治会活動を統括する立場にある谷氏が、非常に消極的だったことが、データからうかがえる。
【公文書】「市民センター機能等の在り方検討に係る学区意見交換会開催結果」
2014年度大津市自治連合会報償金等(連合会学区別)
「自治会関係の報償金」についての図解(2014年に大津WEB新報作成)
周知状況が空欄の学区は、以下の通り。(各学区の開催日、自治会加入世帯数、人口、当日参加者数、周知状況、参加率の一覧表/ウオッチドッグ作成)
当日参加者数が14人以下の学区一覧。
大津市自治連合会長の地元、坂本の自治会加入世帯は2232世帯で、参加者22人。
大津市自治連合会副会長の地元、伊香立の自治会加入世帯は668世帯で、参加者14人。
大津市自治連合会副会長の地元、瀬田の自治会加入世帯は2702世帯で、参加者47人。
葛川の自治会加入世帯数は146世帯で、12人。
長等の自治会加入世帯数は3475世帯で、6人。
中央の自治会加入世帯数は2109世帯で、13人。
膳所の自治会加入世帯数は4848世帯で、5人。
藤尾の自治会加入世帯数は1710世帯で、6人。
大石の自治会加入世帯数は1507世帯で、14人。
逢坂の自治会加入世帯数は2489世帯で、8人。
自治会加入世帯数が多いのに、意見交換会への参加者がこんな少ないの?と疑問に思う学区と、周知状況を取り上げると・・。
平野の自治会加入世帯数は6278世帯で、29人・・周知は、自治会長へ配布。
堅田の自治会加入世帯数は2962世帯で、25人・・周知は、組回覧。
晴嵐の自治会加入世帯数は4894世帯で、28人・・周知は、自治会長配布。
和邇の自治会加入世帯数は2401世帯で、20人・・周知は、全戸配布。
南郷の自治会加入世帯数は2861世帯で、12人・・周知は、組回覧。
参加者が多かった学区はというと・・。
青山・自治会加入世帯数は2873世帯で、137人・・周知は、組長配布。
田上・自治会加入世帯数は3509世帯で、134人・・周知は、組回覧。
瀬田北・自治会加入世帯数は3762世帯で、117人・・周知は、全戸配布。
瀬田南・自治会加入世帯数は4151世帯で、109人・・周知は、組回覧。
大津市は、住民自治の確立のため、各種団体が協働して運営する「まちづくり協議会」を設立すると説明している。しかし、主体となる自治連合会は、重要なイベントのお知らせさえまともにできていない。
参加人数の極端なばらつきからすると、「配布」と報告しながら、実際は行っていなかった可能性がある。自治連合会長は、本当に「自治会長、組長へ本当にお知らせ文を配布したのか?」。編集部は読者からの情報提供を待っている。
36学区の意見交換会の「市民の声」は以下の通り。ウオッチドッグ記者が質問した部分をみると、市や市長、自治連に都合の悪い部分は、記載されていない。市が意図的に削除したと見られる。
①10月13日伊香立(14人)
②10月14日真野北(77人)
③10月20日葛川(12人)
④10月21日長等(6人)
⑤10月21日中央(13人)
⑥10月21日日吉台(69人)
⑦10月21日和邇(20人)
⑧10月27日小松(40人)
⑨10月27日真野(28人)
⑩10月27日晴嵐(28人)
⑪10月28日坂本(22人)
⑫10月28日山中比叡平(50人)
⑬10月28日膳所(5人)
⑭10月28日堅田(25人)
⑮10月28日仰木(57人)
⑯10月28日南郷(12人)
⑰11月10日下阪本(10人)
⑱11月10日田上(134人)
⑲11月10日藤尾(6人)
⑳11月11日富士見(35人)
㉑11月11日大石(14人)
㉒11月11日平野(29人)
㉓11月11日瀬田(47人)
㉔11月17日上田上(27人)
㉕11月11日瀬田東(42人)
㉖11月11日小野(53人)
㉗11月17日木戸(21人)
㉘11月17日上田上(27人)
㉙11月17日瀬田北(117人)
㉚11月17日逢坂(8人)
㉛11月18日雄琴(55人)
㉜11月18日石山(48人)
㉝11月18日青山(137人)