大津市の市民センター統廃合計画に対し、地元住民から反発が高まっている。住民に対して、関連の情報を極力流さず、「統廃合」という言葉を避け、説明らしい説明をほとんど行ってこなかったツケが回ってきた形だ。
大津市は昨年10月、「市民センター改革推進室」を新設した。しかし、実態は実にお粗末だ。自治協働課の課長と職員、それに他部署から異動の1人。電話回線を新たに引いたが、もともと自治協働課が担当していた業務を切り分けたにすぎない。年度の途中に新設された理由は、配属された職員も「わからない」という。
新組織のホームページには、「市民センター等あり方検討」というキーワードを巧みに使い、4年前からの関連の資料や報告書を合計17本掲載している。ところが、計画の中身を端的に示す「統廃合」の文字は、ホームページの本文には見当たらない。17本の資料の中で、「市民センター再編」を見出しとしているのはわずか1本しかない。しかも「統廃合」とは明言していない。
新組織にしても、ホームページに掲載した関連資料にしても、大津市は「時間をかけて十分検討し、そのための組織も作り、市民に対してもしっかり説明してきた」と主張するための、巧妙な“アリバイ作り”ではないのか。
一部の学区自治連合会が、統廃合反対の署名活動を始めたのも、「地元住民に寄り添っている」というポーズに過ぎない。なぜなら、学区自治連合会は、住民不在のまま、水面下で進める大津市の計画を熟知していたからだ。
大津市は結論ありきで動くのではなく、住民一人ひとりに必要な情報を流し、時間をかけて意見を集約しなければならない。